段ボールパレットとは?注目の背景・耐久性や強度・活用メリットも

物流業界では、代替えとして段ボールパレットの需要が高まっています。もともと木製パレットや樹脂製パレットの需要が高く多くの業界で使われてきましたが、環境問題への取り組みや設計の柔軟性、安価で購入しやすくコストを抑えられるなど、段ボールパレットならではの良さが多くあります。

そもそも、段ボールパレットとは何か、メリットやデメリットも含め詳しく解説していきます。段ボールパレットにするべきか迷っている人も、参考にしつつ決めるようにしてみてください。

段ボールパレットとは?

段ボールパレットとは、その名の通り段ボールで作られた紙基材のパレットのことをいいます。

紙製のパレットは1970年頃より使われるようになっていましたが、当時は紙繊維を使ったもので耐久性に問題があるといわれ、幅広く普及することはありませんでした。その後、メーカーごとに研究が進み、環境問題への取り組みの一貫もあり、安価な段ボールパレットが注目されるようになりました。

そもそもパレットとは、物流業界でよく使われている荷物を運ぶ・保管するときに使用する荷台のことをいいます。フォークリフトを使って移動するときにも使われています。

(内部リンク:物流パレットとは?種類・形状・サイズ・利用目的・注意点を解説!

段ボールパレットが注目されている背景

段ボールパレットが注目されている背景として、2021年頃より問題となってきたウッドショックが関係しています。木材の需要が高まり貿易が停滞したことで価格が不安定になり、供給不足が続いています。パレットに使用されている木材の供給にも不安を覚える人が増えたことも一因です。

また、日本の輸出はワンウェイパレットの需要が増えつつあり、回収せず輸送の片道のみで利用しています。回収しない=輸出先で廃棄物を最小に抑えるための取り組みとしても段ボールパレットが使われています。リサイクル性が高く、設計や生産もしやすく廃棄処分にも向いています。

段ボールパレットの価格相場

段ボールパレットの価格相場として、1枚5,000円前後から10,000円前後のものが多く見られます。
強化段ボールをクロス張りにして強化しているもので、1枚売りのものから10枚セットになって売られているものもあります。

段ボールパレットの気になる強度と耐久性

段ボールパレットについて、強度や耐久性が心配だと感じている人もいるのではないでしょうか。

段ボールパレットは、簡易的なつくりには見えるものの垂直耐荷重の目安は約1t〜2tと十分な重さに対応できます。極めて重い荷物を運搬する予定がないのであれば、特別な素材や技術を用いて強度を高めた、オリジナルの段ボールパレットを利用するのをおすすめします。

オリジナルになると、約2t以上の荷物にも対応できるようになるので、十分な耐久性のもとで使えるようになります。

段ボールパレットの種類

一口に段ボールパレットといってもさまざまな種類があります。
種類によっても強度や耐久性が異なります。
具体的にどのような違いがあるのか見ていきましょう。

フルート(中芯)別の種類

段ボールパレットは、フルートの厚さによっても強度が異なります。

Bフルート(3mm程度)
Cフルート(4mm程度)
Aフルート(5mm程度)
ABフルート(8mm程度)
AAフルート(10mm)

と厚みが変わっていきます。

厚みが増すごとに段ボールパレットとしての強度が高まることもあり、より耐久性のあるパレットを希望しているのであれば、厚みのあるものを選ぶようにしましょう。段ボールパレットは、他のパレットと比較すると、強度が60%高まっており、1.6倍の強度が期待できます。

他にも梱包資材として軽量で低コストを実現してくれるのも、段ボールパレットの魅力といえます。
梱包する商品や資材に応じて、適切な段ボールパレットを選ぶのをおすすめします。

形状・仕様別の種類

段ボールパレットの形状や仕様は、製品によっても大きく変わってきます。
具体的にどのような形式で形状や仕様が変わるのか、それぞれの特徴を紹介していきたいと思います。

天板の仕様
通常タイプ 一般的な段ボールパレットの天板サイズは1,100×1,100mm程度です。サイズ調整できるのも特徴になり、柔軟性のある使い方を実現してくれます。
ヤッコ・C式タイプ パレットの天板部分に、製品の下部を保護するための淵がついているのが特徴
桁材の仕様
二方差しタイプ 二方差しタイプは、二方向から差し込んで使用できるタイプのものです。桁の位置や大きさなどは調整が可能です。
四方差しタイプ 四方差しタイプは、四方向のいずれからも差し込めるタイプです。そのため、差し込む方向を選ばずにパレットを設置できるのも特徴です。桁の位置や大きさなどは調整ができるので、柔軟性も期待できます。
底板の仕様
スキットタイプ 二方向から差し込むタイプの底板です。縦長の板がついているので、安定感もあり、重い荷物を乗せたいときにも便利です。四方向から差し込めるタイプのものもあり、使う用途にあわせて選択するようになります。
底板全面タイプ 底板の全面に板がついているタイプのものです。そのため、差し込み口がないのも、スキットタイプの特徴と言えるでしょう。
底すかしタイプ 底面に透かしのように空洞がついているタイプの底板です。二方向差しと四方向差しの2種類があるため、用途にあわせて適切なものを選ぶ必要があります。

段ボールパレットのメリット

段ボールパレットには多くのメリットがあります。
具体的にどのようなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。

安価で購入できる

段ボールパレットは、木製パレットや樹脂パレットよりも安価で製造できる点も大きなメリットです。

原料が紙を使っていることもあり、加工が簡単にできることも低コストの理由の一つです。また、製造するときは発注してからのリードタイムも短く、スピーディーな納品も期待できます。

特に、コストを抑えつつ、まとまった数のパレットを導入したいと考えている人にとっても、段ボールパレットの良さといえるでしょう。安価で購入できる分、回収のコストを抑えることにも繋がります。

軽量で取り扱いやすい

段ボールパレットは、木製パレットと比較しても数分の1程度と軽量で扱いやすいのも特徴です。

具体的には約30kgの木製パレットを使っている人が、段ボールパレットを使えば6kg前後まで重量を抑えることができます。人が持ち運ぶこともできるくらいの軽さになるので、作業や移動の負担になりません。

また、空輸運送のときにパレットを使うこともあるでしょう。すべての総重量で含まれてしまうこともあり、コストを抑えつつ運用したい人にとっても、軽量で使いやすい点もメリットといえるでしょう。

リサイクル可能で環境に優しい

段ボールパレットは、環境問題に適しているのも特徴です。CO2の削減率最大80%が期待できることや、100%のリサイクルにも対応しています。国際的にも脱プラスチックの意識が高まっていることもあり、日本国内でも多くのプラスチック製品の見直しが進んでいます。

特に利用頻度の多いプラスチックパレットよりも、段ボールパレットのほうがリサイクルに適していることもあり、産業廃棄物の削減につなげることも可能です。地球に優しい素材であるのも特徴といえるでしょう。

静音性に優れている

段ボールパレットは、静音性に優れているといわれています。荷物を運搬するときに、木製や樹脂性のパレットになるとどうしても大きな音を出してしまうことも少なくありません。

そのため、作業をする時間が限られてしまうこともあります。段ボールパレットにはその心配もなく、静かに作業を行うべきときにも適しています。もともとが紙でできていることもあり、音の心配もありません。

燻蒸処理(熱処理)が必要ない

段ボールパレットは、燻蒸処理(熱処理)の必要がありません。木製パレットのときに大きな課題として問題になってきたことでもあるのですが、コストを削減しつつ環境負荷を低減することにも繋がります。

樹脂パレットでも同じことがいえ、燻蒸処理(熱処理)が必要ないことで作業の負担を減らせるメリットも」期待できます。ワンウェイパレットとして輸出にも使いやすいパレットとしても注目されています。

加工・設計の自由度が高い

段ボールパレットは、自由に加工ができ、サイズをオーダーできる点も大きなメリットといえます。今までの木製や樹脂製の4パレットは保有していないサイズが必要になると、新しい型を注文しなくてはいけなくなるため、初期費用のコストが高くなってしまいがちです。その点、段ボールパレットは、加工・設計の負担が少なく用途にあわせて自由に調整できる点も大きなメリットと言えるでしょう。ただし、形状によっては、木型を必要とする場合もあります。

段ボールパレットのデメリット

段ボールパレットには多くのメリットがある一方で、少なからずデメリットもあります。
具体的にどのようなデメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。

水や湿気に弱い

紙を素材としているため、水や湿気に弱い点はデメリットと言えるでしょう。

屋内であればそこまで心配がないとは思いますが、屋外で保管するのは適していません。特に、日本は湿気が多いのもあり、段ボールパレットの扱い方が難しく感じられる場合もあると思います。また、運搬する商品によって合わないものもでてくるため、水や湿気に注意しつつ使う必要が出てきます。

木製・樹脂製パレットと比べて強度・耐久性は劣る

段ボールパレットにも、厚みを工夫したり加工をするなど強度や耐久性を追及したものはたくさんあります。そのため、重量を増やして使用することもできますが、木製・樹脂製パレットと比較すると、強度・耐久性において劣っている部分も少なくありません。

繰り返し使用することに向いておらず、輸出などのワンウェイパレットのように一度きりで使うのをおすすめします。耐久性を求めるのであれば、他のパレットも含めて検討するようにしてください。

段ボールパレット以外の物流用パレットの種類には何がある?

最後に、段ボールパレット以外にどのような物流パレットがあるのか代表的な機能を紹介します。

●木製パレット

木材を使用したパレットのことをいいます。

サイズや加工を自由に指定でき、強度や寿命にも優れています。また、部分的な故障であれば補修して使用することも可能です。その点、重量感があり、湿気の心配や熱処理が必要になることもあります。

(内部リンク:木製パレット
(内部リンク:木製パレットとは?サイズ規格・メリット・取り扱いにおける注意点も

●樹脂製パレット

プラスチック製パレットとも呼ばれているものになり、洗浄が容易にでき軽量で使いやすいのが特徴です。

木くずがでてしまうこともなく、耐久性に優れているパレットです。オーダーメイドになるとコストが高くなってしまい、補修の対応ができない点もデメリットといえます。

(内部リンク:プラスチックパレット
(内部リンク:プラスチックパレットとは?特徴・メリット・デメリットを解説!

●金属製パレット

スチールやアルミニウムなどを使用した金属素材で作られているパレットのことをいいます。

耐久性にも優れており、重量感のある荷物や鋭利なものを運搬するのにも向いています。高価ではありますが、木製や樹脂製と比較すると何度も使用できることもあり、工場での使用でよく使われています。

(内部リンク:メッシュパレット
(内部リンク:メッシュパレットとは?用途・使用メリット・種類・注意点を解説!

まとめ

段ボールパレットは、環境問題にも最適なパレットになり、輸出が多い、ワンウェイパレットでコストを削減したい人にも向いています。軽量で運搬しやすい特徴もあるため、重量によってコストが変わってしまうような空輸にも最適です。

段ボールパレットを始め、木製パレットや樹脂製パレットをお探しの方は当店にご相談ください。
最適なパレットを提案いたしますので、失敗しないパレット選びを実現します。

私たちは持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
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