運送・物流業界のなかで、フレコンバッグの導入を検討している人もいると思います。とはいえ、フレコンバッグとはなにか、用途についてよくわかっていない人もいるのではないでしょうか。業務の効率化や安全性の向上などさまざまなメリットが期待できます。
フレコンバッグを日々の業務に活用するためにも、どのような形状があるのか選び方のポイントについても詳しく解説します。フレコンバッグのメリット・デメリットについても解説しますので、参考にしてみてください。
もくじ
フレコンバッグとは?
フレコンバッグとは、工業や農業などで使われているもので荷物の保管・運搬に使われる資材のことをいいます。正式な名前は「Flexible Intermediate Bulk Container(フレキシブルコンテナバッグ)」で、略したものである「FIBC」と表記されるのが一般的です。
また、1袋で1トンの荷物が入れられるため「トン袋」などと呼ばれることもあります。他にも「Jumbo Bag(ジャンボバッグ)」と呼ばれるなど、さまざまな呼び方があるのがわかると思います。フレコンバッグの形状によって変わりますが、フォークリフトに吊り下げた状態で使用出来るものもあり、安全に作業ができるのも特徴です。
フレコンバッグの構造
フレコンバッグの構造にも種類があります。
●本体袋・内袋
フレコンバッグの本体袋は、ポリプロピレン(PP)にて製造されており、耐衝撃性に優れ重量感のあるものでも引張しにくい仕様でできています。
内袋のついているフレコンバッグもあり、製品を保護してくれる効果が高まります。
●投入口・排出口
フレコンバッグによって変わりますが、中身を充填するために使用するのが投入口です。この部分を密閉すると内容物が排出してしまうリスクを軽減することにも繋がります。また、排出口は、フレコンバッグの底面になり半開や全開などの開く度合いが変わってきます。
●吊り部(ベルト)
フレコンバッグの吊り部は、フォークリフトなどで吊り上げるときに使う持ち手の部分です。この部分が切れてしまうと、事故の原因となることも考えられます。使用する前に劣化具合を確認しておきましょう。
フレコンバッグの値段相場は?
フレコンバッグの値段相場は、サイズによって異なります。590L前後の小型サイズになると2,000円前後、1000L前後のサイズだと2,500円、1500L前後だと4,000円と値段が上がっていきます。費用を抑えたい人は、中古のフレコンバッグを選ぶのもおすすめです。
フレコンバッグが使用される用途| 業界別で解説
フレコンバッグの主な用途は「保管・仕分け・輸送・運搬」と幅広くあります。
実際に使用される業界も幅広く、業界によって何をいれるのかも変わってきます。
フレコンバッグがよく使われている業界を、それぞれ詳しく解説していきたいと思います。
農業・食品原料
農業・食品原料の業界においてフレコンバッグは収穫した米・麦を収納し運搬するときなどに使われています。フレコンバッグを使うと、フォークリフトによって吊り上げるられるため、業務効率を大きく向上させることにも繋がります。
人手不足の業界でもあり高齢化が進んでいるからこそ、作業者の負担を減らせるフレコンバッグが活躍しています。また、食品原料では小麦粉やベーキングパウダー、米粉や砂糖、大豆などで使われています。
工業・土木・建設
工業では、主にガラスや樹脂ペレットなどの廃材を運搬するときや、金属や灰、カーボンや顔料などさまざまなものをまとめておくものに使われています。また、土木や建設業界においても、砂やセメント、石膏や土石、土壌や廃材用などのさまざまな部分に使用され、重量感のあるものの運搬にも使われます。また、放射性廃棄物の運搬に使用されることもあります。
主にトンパックが使われており、屋外で使用する場合は紫外線による影響を防ぐためにも、耐候性のあるフレコンバッグを使用します。耐用年数が表示されているものになり、使用する前に使用頻度や工期に見合ったスペックのものかどうかを判断するようにしてください。
医薬品・化学薬品
フレコンバッグは、各種医療品の薬剤や粉、粉粒体などに使われています。防湿性が必要になるような用途のものを運搬するときは、アルミフィルムのうち袋がついたフレコンを使用します。内袋の部分にアルミを使用しているため、安心して使用できます。
フレコンバッグのメリット・デメリット
フレコンバッグのメリット・デメリットについて紹介します。
メリット | ・一度に大量の物資を保管、運搬できる ・段積みして使用できるので手作業より効率的に使用可能 ・フォークリフトも使えて労働負担を減らせる ・丈夫で軽量なのでさまざまな用途に使いやすい ・種類も多くコストを抑えて使いやすい |
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デメリット | ・紫外線に弱く、長時間屋外にあると劣化しやすくなる ・内容物が入ると手動で移動するのが難しくなる ・フォークリフトは資格を持っていないと運搬できない ・再度利用する場合は点検を行う必要がある |
フレコンバッグは、手作業と比較すると運搬にかかる時間やコスト、負担を減らしてくれるなど柔軟性もあり使いやすい特徴を持っています。数百キロ以上の内容を充填することもできる点は大きいでしょう。とはいえ、フレコンバッグには種類があるため、適切なものを選ぶことも必要になってきます。フォークリフトがないと運搬はできませんが、資格があれば使用する人を選ばない点はメリットといえるでしょう。
フレコンバッグの主な種類
フレコンバッグは、日本フレキシブルコンテナ工業会によってJIS規格(JIS Z 1651)が決められています。JIS規格では「ランニング型」と「クロス型」の2種類があるため、どちらが用途にあっているのかを判断したうえで決めていきます。他にも、フレコンバッグの充填・排出時に発生する静電気対策へのIEC規格もあるなど、タイプによっても分類されています。
フレコンバッグの主な種類について、詳しく見ていきましょう。
【JIS規格】ランニング型
JIS規格のランニング型には「I型」と「J型」の2種類があります。I型は、充填と排出を何度も行うことを想定して作られたタイプのことをいいます。日本ではほとんど見かけない形になりますが、海外ではよく使われているメジャーなタイプです。
J型は、同じく繰り返し使用できるものの劣化の状態に応じて修理を行い、長く使用できるのが特徴です。J型は、耐候性や耐水性にも優れているため場所を問わずに使用できる点も、ランニング型の特徴といえるでしょう。
【JIS規格】クロス型
JIS規格のクロス型は「クロスシングル型」と「クロススタンダード型」の2種類に分類されます。クロスシングル型は、一度きりしか充填ができないタイプになり、使いきりで処分するタイプのものです。クロススタンダード型は、数回使用出来るものになり1年以内で処分することを想定しているタイプです。
とはいえ、中にいれるものによっては破損してしまうことも考えられます。その場合は、修理ができないためしょぶんする必要が出てきます。
【IEC規格】タイプA(非静電気タイプ)
IEC規格とは「International Electrotechnical Commission」の略称になります。電気技術などの国際的な標準を制定したもので細かく分類されています。タイプAは、非静電気タイプになり、静電気対策における加工技術を行っていないタイプです。そのため、一般的なタイプとしてよく使われています。
【IEC規格】タイプB(帯電防止タイプ)
IEC規格のタイプBは、帯電防止タイプです。静電気が発生することのないように、絶縁破壊するための加工を施しています。タイプBの場合、紙や樹脂フィルムを使用して作られれいるため、火花の放電や沿面放電対策としてもよく使われています。小麦粉などの加熱性の粉塵がある環境で、使用するものです。
【IEC規格】タイプC(導電性タイプ)
IEC規格のタイプCは、導電性タイプです。電流を流すための特殊な糸を用いているものです。そのため、静電気をしっかりと抑えてくれる効果が期待できます。タイプCは導電性のある樹脂シートを素材としており、糸や繊維を織り込んでいるものも見かけます。加熱性ガ
スや蒸気、粉塵が存在する環境であり、内容物の充填などの状態を想定して作られているものになります。
【IEC規格】タイプD(無害放電タイプ)
IEC規格のタイプDは、無害放電タイプです。電気を害が生じない範囲で放電するように加工しています。徳sちゅな帯電防止織布にて作られているため、充填や排出作業を行うときに静電気を空気中に放電させます。そのため静電気による災害を防止することでも知られています。火花放電やブラシ放電などを防ぐ効果も期待できるといわれています。
フレコンバッグの主な形状
フレコンバッグの一般的なサイズは直径1,100mm×高さ1,100mm(1,000L容量)です。このサイズを標準にして、多くのメーカーがさまざまなサイズのフレコンバッグを生産・販売しています。フレコンバッグの形状には、主に「丸型」「角型」の2つがあり、それぞれ特徴が変わってきます。
それぞれの特徴や用途について詳しく紹介していきたいと思います。
丸型フレコンバッグ
丸型フレコンバッグは、筒状の布でできた丸い形状のものです。中に物をいれると袋が膨らんで見えるようになります。シンプルな構造のものが多く、コストを抑えて使用できるのが特徴です。主に農産物を保管・運搬するのに使われることが多くなります。他にも土砂の運搬や土のうで使われることも少なくありません。丸い形状なので置くスペースによってはやや使いにくさを感じることもあります。
角型フレコンバッグ
角型フレコンバッグは、側面の部分が四角いパネルにて構成されているものです。中に物が入っているかどうかではなく四角い形状をしているのも特徴です。四角い分、すき間ができにくいためスペースを効率的に使いたい人にとっても便利なフレコンバッグといえます。構造もしっかりとした作りのものが多く、高い安定性が期待できます。ただし、価格は丸型フレコンバッグよりも高くなるものが多いため、予算も含めて選ぶようにするのをおすすめします。
フレコンバッグの選び方・ポイント
最後に、フレコンバッグの選び方やポイントについて紹介します。
●「用途」で選ぶ
フレコンは、用途で選ぶことで部品を購入するかどうかが変わってきます。内容物を充填したあとに排出しないのであれば、排出口を用意する必要がなくなります。また、吊り下げ作業が必要になるのか、運搬方法をどうするのかによっても変わってきます。用途によって本体部分の形状も変わりますし、内袋部分の素材も、PEやアルミ、ラミネートなど変わってきます。
●「内容物」で選ぶ
フレコンバッグのなかに充填する内容物によっても、選び方が変わってきます。また、通気性や粒度や形状、流動性によってもフレコンバッグの選び方が変わってきます。他にも構成材料の適合性なども含めて判断しなくてはいけません。フレコンに触れることで汚染してしまうような内容物もあるため、温度設計も含め事前に確認しておくのをおすすめします。
まとめ
フレコンバッグは、さまざまな業界で使われており一度に大量の荷物を保管したり運搬するときに便利です。一口にフレコンバッグといっても用途や内容物によっても選び方が変わってきます。
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