物流担当者の多くは「パレタイズ」を耳にする機会も多いのではないでしょうか。より多くの荷物を安全かつスピーディーに運ぶためにも、パレタイズは欠かせないポイントです。とはいえ、パレタイズとは何かよくわかっていない人もいるのではないでしょうか。
パレタイズのパターンや手順など、基本的なポイントについて、解説していきたいと思います。また、近頃は、パレタイズをロボットによる自動化する働きも進んでおり、自動化するメリットもたくさんあります。
もくじ
パレタイズ/デパレタイズとは?

パレタイズとは、物流で荷物を運搬する際に使用する、上部に荷物を積み上げる作業のことをいいます。大量の荷物を一つの塊としてまとめることで、フォークリフトで移動や積み込み作業、荷下ろし作業が効率的に行えるようになります。荷崩れによる安全性にも考慮した運搬を実現できるようになります。
ちなみに、パレタイズではなくデパレタイズとはパレットに荷積みした荷物を上げ下ろしすることです。荷物の積み下ろしには危険も伴うため、安全を考慮しつつ行う必要があります。
パレタイズのメリット
パレタイズは主に以下のようなメリットが期待できます。
- コストの削減に繋がる
- 作業の安全性の向上が期待できる
- 生産性の向上に繋がる
- スペースを省略できる
などがあります。
パレタイズを基本の輸送形態とし、標準化することで物流の負担を大幅に減らせるようになります。また、手動ではなくハンドリフトを使えるようになるため、省力化も期待できます。パレットに固定されているため、安定した状態での運搬を実現します。
荷物を受け取る側にとってもたくさんのメリットがあり、パレタイズされることによって、荷物の受け取りをスムーズに行えるようになります。スタッキングもできるため、少ないスペースでも使いやすくなり利便性も高まります。
デパレタイズとは
デパレタイズは、積み上げた荷物を一つずつ下ろしていく作業のことをいいます。以前は手作業にて行われていました。どうしても荷物を運ぶ負担もあり、ロボットなど自動化も進められています。
パレタイズにおける6つのパレットパターン

荷崩れしないように安全にパレタイズを行うためにも、パレットパターン(荷物の積み方)が非常に重要になってきます。具体的にどのような積み方のパターンがあるのか、詳しく説明していきます。パレタイズをより効果的に使うためにも、しっかりと押さえておきましょう。
ブロック積み(平積み)
ブロック積みは、ブロックの形状にして積み上げていきます。シンプルな積み方になるため、スピーディーに積み上げることができ、取り出す時も縦にそのまま移動させるため負担がありません。重量感のあるものを積み上げやすい特徴を持ち、ブロック積みを行います。ただし、縦に積み上げていくため、横からの力に弱くちょっと力を加えただけで倒れてしまう場合もあります。フォークリフトを使って移動させるときは、フィルムやベルトを使ってしっかり固定します。
インターロック積み(交差列積み)
段ごとに荷物の向きを反対に変えていく方法のことを言います。ブロック積みと同様に同じ方面で積み上げると、横からの振動に弱くなってしまいます。インターロック積みは、シンプルながら荷崩れのリスクを減らせるメリットが期待できます。
ただし、注意点として積み上げる荷物のサイズが一律でないとできない積み上げ方ともいえます。そのため、正方形の荷物を積み上げるときに向いています。全体のバランスも意識しつつ積み上げていくのが、ポイントと言えるでしょう。
レンガ積み
1段・2段と荷物の向きを変える方法もあり、180度位置を変えて積み上げることもあります。どんな荷物が入っているのか把握したいときにも便利な簡易的な方法とは言えず、慣れるまでに時間がかかります。
レンガ積みを正しく扱えない可能性も出てきます。レンガ積みは長方形のパレットを使いたいときにもおすすめです。検品が必要な際にも便利に使いこなせると思います。
スプリット積み
レンガ積みを応用したものになります。あえて、隙間を用意する積み上げ方法のため、最初は疑問に思うこともあるかもしれません。隙間ができることで、荷崩れしやすくなってしまう場合もありますが、荷物によっては必ずしもそうとは限りません。形状の異なる荷物や、大きさが違う荷物を積み上げていくときにも、最適な方法と言えます。
ピンホール積み(風車形積み)
長方形の荷物をあえて正方形に積み上げ安全性を高めるときに行う方法になります。風車形積みと言われるように、風車に見えるような形に積み上げていき荷物が密着しない分、風の通り道を作りたい人にもおすすめです。せっかくのスペースを有効活用できなくなってしまうことも考えられます。ピンホール積みに最適な荷物かどうかを見極めることも必要です。
ダブルピンホール積み
名前の通りピンボール積みがもとになっているものです。荷物の真ん中を二つに分けて積み上げていきますが、一つの山を作ったあとに、もう一つ同じものを作ります。積載効率を重視した積み上げ方のため、大量の荷物を片付けたい人にもおすすめです。ただし、ダブルピンホール積みは積み上げるのにやや難易度が高く時間もかかります。ある程度慣れている人でないとできない積み方とも言えます。
効率的なパレタイズに向けた基本的なポイント5選

効率的なパレタイズを実現するために覚えておきたい、基本的なポイントを紹介します。
重要なポイントになりますので、しっかり押さえておきましょう。
安全性(荷崩れリスク防止)を第一に考える
安全性はパレタイズにおいて重要なポイントです。荷崩れによる事故をおこなさないために適した方法であるのかを考えるようにしてください。例えば、フォークリフトで移動するときに荷崩れしないかどうか、トラックの輸送にも適しているかどうかを考えるようにしておきましょう。どんなに効率的に積み上げたとしても、荷崩れしてしまっては意味がありません。安全第一で作業ができるかどうかを考えるようにしてください。
重いもの・硬いものを下に積む
荷物を積むときに、大きさや重さの異なる荷物を一緒にしなくてはいけないケースも出てきます。基本的なポイントとして、重いものや硬いものは下に積むようにしてください。上に来るものは、軽いものや柔らかいものを積み上げるようにしておきましょう。逆に積んでしまうと荷物の重さによって荷物がつぶれてしまうことも考えられ、荷崩れの要因となります。荷物を安全に運ぶためにも積み方が重要になってきますので、重いものや硬いものは下になるように調整しておきましょう。
重石となる荷物を最後に載せる
重量感のあるものや硬いものが、下部に来るように調整していきますが、荷物の一番上に重石となる荷物を載せるようにしてください。軽量な荷物は崩れやすくなってしまいますし、上から重量をかけ重しの役割をすることで荷崩れのリスクを減らせます。重石となる荷物がないときは、ストレッチフィルムやバンドを使って荷物を固定するようにしてください。
オーバーハングを避ける
オーバーハングとは、荷物の角の部分がパレットからはみ出し収まっていない状態のことをいいます。角は強度のある部分になりますが、維持できなくなるため荷物を積み上げていくうちにつぶれてしまう場合も考えられます。荷崩れのリスクを減らすためにも、オーバーハングにならないように、はみ出すことのないように気を付けてください。
パレット梱包をする
さまざまな大きさや重さのサイズの異なる荷物をパレタイズするときは、フィルムを使って巻くのをおすすめします。荷物全体をぐるっと巻くことで荷物全体が締め付けられるようになります。横から振動や力が加わったときにも荷物が倒れてしまうリスクを減らせます。
【5STEP】パレタイズの主な手順

しっかりと把握したうえで、具体的な手順について解説します。
| STEP(1)荷物の梱包 | まずは商品や荷物を整理していきます。似た大きさの荷物ごとにグループ分けしておき、荷物の梱包を進めていきます。 |
| STEP(2)パレットへの積み付け | 商品をパレットに敷き詰めますが、同一サイズで積む場合や、さまざまなサイズを混在させて積む場合もあります。 重いものや硬いものを下にして、上に軽いものが来るように積み上げていきます。荷崩れが心配なときは防滑紙を挟み、安定性を向上させることができます。 |
| STEP(3)パレット・荷物の固定 | 積み上げた商品を固定するために、フィルムやプラスチックバンドを使います。製品を固定し保護するためにはストレッチフィルムが便利です。また、バンドで固定するときは使用量を抑えつつ開梱時の負担も少なく簡単にできるメリットも期待できます。 |
| STEP(4)移動・保管または運搬 | 商品や荷物をパレットに積み上げたあとにフォークリフトにて移動し、保管しておきます。フォークリフトで移動させるときに荷物を傷つけてしまうことのないように、接触や破損に注意して行うようにしてください。重量感のある荷物は後方に置くと、より安定感が期待でき、スライドの心配もなくなります。 |
| STEP(5)デパレタイズ | デパレタイズは、荷物を積み下ろすときの作業です。はさみやカッターを使って、フィルムやバンドを切り開梱していきます。梱包していた商品を取り出したあとに適切な場所に出し整理しておきます。デパレタイズは、量が多いときには機械を使って自動化することも可能です。 |
ロボットを用いた「パレタイズの自動化」とは

かつては、パレタイズは手作業で行うのが一般的でしたが、近年はパレタイズロボットを用いてパレタイズを自動化する物流企業も増えています。そもそも、パレタイズロボットとは、荷積みの作業を自動化してくれるロボットで、別名「パレタイザー」と呼ばれています。倉庫作業のなかでも負担の大きな荷積み作業をロボットに任せられることもあり、負荷を減らしつつ効率よく荷積み作業を行えるようになります。人手不足の問題もあり、物流業界の働き方を見直す動きもあるからこそ欠かせない設備と言えます。
パレタイズを自動化するメリット
パレタイズを自動化することで得られる3つのメリットを紹介します。
●運搬の生産性を高めることができる
パレタイズを自動化することによって、生産性を高めることにも繋がります。手動のように人力ですべての作業を行うとなると、重量感のある荷物ほど移動させるのに時間がかかってしまいます。自動化することによって、一定のサイズ(規定内)であれば、どんな荷物であっても作業を効率化することができます。機械によって時間を問わずに使えるようになりますし、生産性を高め負担を減らしてくれます。
●人為的なミスが起こりにくくなる
パレタイズを自動化することで、人為的なミスが起こりにくくなります。手動でパレタイズを行うと、どんなに気を付けていても人為的なミスが起きてしまい、余計に時間がかかってしまうことも考えられます。ロボットによる自動化が進めば、システムによって管理されているため積み込みのミスも減らせます。とはいえ、システムのメンテナンスや設定は必要になる点は覚えておきましょう。
●作業負担を減らすことができる
作業員の負担を減らすためにも、パレタイズの自動化が役立ちます。荷物の種類によっても肉体的な負担が大きくなってしまいます。自動化することによってロボットのシステム管理のみで作業を完成させることができます。また、パレタイズによって事故のリスクもありますが、自動化することで件数を減らすことも期待できるといわれています。
パレタイズロボットの主な種類
パレタイズロボットと一口に言っても、いくつかの種類があります。
●垂直多関節ロボット
複数の関節にて構成される直角なアームによって、複雑な動きにも対応しています。多様な積み方にも対応しており、可動域も広く設置面積が少ない特徴があります。
●ガントリー型(直交型)ロボット
複数の直交するスライドによって作られるロボットです。ばらつきがなく高精度な作業を実現しますが、直線の動きのみしか対応できません。導入コストが安く、初心者向きのロボットと言えます。
●機械装置型ロボット
パレタイズがベルトコンベアと一体型になっている機械のことをいいます。生産量の多い現場では高速で多くの荷物が処理できる良さもあります。ただし、積み方が一定で大きなスペースが必要です。
まとめ
パレタイズは、荷物を安全で効率的に輸送し保管するためにも欠かせないものです。積み上げ方にも種類がありますが、手動では難しい大量の荷物は自動化されたロボットを導入する企業も増えています。デパレタイズも含め、作業路より効率化できる方法に変えていけるようにしましょう。パレタイズについて、お悩みの物流担当者の方は、ROUTE88にご相談ください。