物流パレットは似ているように見えても、国によっても規格やサイズに違いがあります。業界によっても使用されているパレットの違いがあるからこそ、まずはどんなパレットがあり規格によって分けられているのかを知ることも大切です。
また標準パレットと呼ばれているものでも、大きさはどの程度のものがいいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。国内だけに限らず、海外の物流パレットについても把握しつつ選ぶ時の参考にしていきましょう。
日本で使用されている物流パレットの規格
基本で流通している物流パレットは、JIS規格によってサイズや寸法が定められています。
具体的なサイズについて知りたいと考えている人向けに、それぞれの標準サイズや寸法について詳しく説明していきたいと思います。また、あくまでも決められた規格がありますが、説明する以外のサイズをオーダーメイドで新しく作っているケースもあります。
JIS規格に基づく標準サイズ・寸法
日本のJIS規格に基づく標準サイズ・寸法は、1,100×1,100×144の「JIS Z 0601」と定められています。このサイズのパレットは、別名「「一貫輸送用平パレット」T11型パレット」「イチイチパレット」とも呼ばれることがありますが、いずれも同じサイズのパレットです。使われている素材によっても変わり、木製の平パレットになると「JIS Z 0604」、金属製のパレットも「JIS Z 0604」のような規格があります。多くの業界で使われてるサイズでもあり、汎用性の高さでも知られています。
その他のサイズ・寸法
日本の標準サイズ以外にもさまざまなパレットがあります。
具体的には以下のようなサイズがあります。
1,100× | 800mm 900mm 1,100mm |
1,200× | 800mm 1,100mm |
1,300× | 1,100mm |
1,400× | 1,100mm |
1,440× | 1,130mm |
これらが規格として定められているパレットのサイズです。
「パレットの標準化」とは?
物流に欠かせないパレットは全体の8割を占めています。
パレットが使えるにもかかわらず、バラ積みやバラ降ろしが行われており、作業の効率が悪くなってしまっている状態です。パレットの規格の統一や、運用方法が決められていないため、物流センターにて積み替えが必要になっています。
また、所有しているパレットの回収は量こそ少ないものの頻度が多くなるなど、大きな負担となっている状態です。
こうしたパレットの問題を解消するために、国土交通省にてさまざまな取り組みが行われています。
- パレットの共同管理や運用を行うレンタルパレットへの補助金
- パレットを導入する物流事業者や倉庫事業者、荷主の人への補助金
- 標準仕様のパレットの導入や、パレタイザー導入による荷積みの自動化
などの対策を進めています。
標準仕様のパレットへの切り替えを促し、補助金を使ってパレタイザーを導入することで、手荷物役になる作業員の待ち時間などの負担を減らす取り組みを行っています。
パレットの高さ・重さは標準化されている?
パレットの標準化が進んでいますが、あくまでも縦横高さなどのサイズによるものです。
パレットに使われている素材によっても、重さは変わってきます。
「JIS Z 0601」は、1,100×1,100×144mmと高さも決まっており、重さについても25㎏前後です。
小さいパレットはある?
標準外の小さなパレットもあります。
例えば、600サイズのパレットが、小型になっているため取扱いが簡単です。
小規模な物流での荷物の移動や輸送にも向いています。
軽量素材でできたものが多いので、人でも持ち上げられる重さです。
サイズは、600×600mmの正方形型や、600×800mmの長方形のものもあります。
保管スペースが限られている場合でも効率的に使用できる点も大きな特徴といえるでしょう。
海外で使用されているパレットのサイズ・寸法
諸外国でも日本と同様に、パレットについて主要なルールやメーカーが存在します。
日本でも、A版パレット(650×950mm)・B版パレット(800×1,100mm)のように決められたサイズ・寸法があります。
国土交通省の資料や、参考サイトを元にしつつ、海外で使用しているパレットのサイズ・寸法(規格)についてわかりやすくまとめて紹介していきます。
国 | 主要なルールメーカー | サイズ |
---|---|---|
ヨーロッパ | 標準化され、交換や再利用できるパレットにて商品の輸送や返還義務を行う交換規程。 運送業者や所有しているパレットを使わない「ボン型パレット交換」と、交換可能なパレットを使う「ケルン型パレット交換」がある |
1,200×1,000mm 1,200×800mm 800×600mm |
アメリカ | アメリカでは48×40サイズのパレットが主流で使われている。 パレットプール事業者と契約していても、品質や仕様が同等でありコストが低いと新品・裕子・再生の利用を許可している |
1,219×1,016mm 1,219×1,219mm 1,219×1,067mm 1,219×1,143mm 1,067×1,067mm など |
オーストラリア | CHEPサイズに合わせたパレットが主流となり、CHEPやLOSCAMパレットの利用が契約条件となっていることも多い。 そのため事業者はシステムを使わざるえない。 |
1,165×1,165mm |
中国 | 木製パレットが圧倒的に多く使われている。 自社でパレットを保有し、積みのまま顧客に納品し、パレット回収をせずにリサイクルに流れることも多い |
1,200×1,000mm 1,100×1,100mm 1,200×800mm |
【業界別】主に使用されるパレットのサイズ・寸法
主に使用されているパレットのサイズや寸法は業界によっても細かな違いがあります。業種別に主に使われているパレットサイズや、その業界で主に使われているパレットの素材・種類について紹介します。
食品業界
食品業界でよく使われているパレットサイズは、1,100×1,100または1,200×1,000です。主にプラスチックパレットが使われ、洗浄ができる仕様のものが選ばれています。冷凍食品の輸送の場合はポリエチレン製のものが多くなります。ポリエチレン製のパレットは、冷凍している場所でも耐久性があり脆くなる心配もありません。運ぶ食品によって使い分けされているのも特徴といえるでしょう。
酒類・飲料業界
酒類・飲料業界にて使われているのは、ビールパレットと呼ばれているものです。1,100×900mmのパレットには、ビールケース6箱が乗せられる仕様になっているため、まとめて輸送したいときにも便利です。耐久性にも優れた仕様になっているので、重いものでも安心です。プラスティック製を使っているため、定期的に洗浄して衛生的に使用できます。
医薬品業界
医薬品業界で使われているパレットは、主に1,100×1,100mmの標準サイズです。衛生面を重視していることもあり、定期的に洗浄が出来錆の心配がないアルミニウム製のパレットがよく使われていました。近頃は、プラスチック製のパレットも多く見かけるようになるなど、使われるパレットの種類も変わってきています。
化学業界
化学業界の場合、主に1,100×1,100または1,100×1,400のパレットが使われています。輸送するものによっては、その他の平パレットを使うこともあります。化学業界は薬品をドラム缶のなかに入れた状態で輸送することもあり、十分な大きさのパレットが使われているのも特徴です。1,220×1,220mmのパレットを使うと、ドラム缶4本を一度に輸送できるのも特徴です。
自動車製造業
自動車製造業では、主に標準パレットである1,100×1,100mmが使われています。一般的には鉄製のパレットやスチール製のパレットを使うことが多くなります。重量のある部分には、強い耐荷重性のあるパレットを使う必要がありますし、軽量部分には木製やプラスチック製のパレットの使い分けをしています。
【種類別】パレットの特徴や主なサイズ・寸法
パレットの標準化が推進されているものの、必ずしも標準サイズのパレットを用いなくてはいけないわけではありません。パレットの素材によっては、耐荷重性・耐久性などの特徴が大きく異なるため、素材ごとに変わる特徴を踏まえつつ、適切なサイズを選ぶことが大切です。
パレットの種類ごとの特徴や、主なサイズ・寸法の違いについて説明します。
木製パレット
木材を主材料にしたパレットになり、数あるパレットのなかで最も使われているものです。組み立ても簡単で時間がかかりませんし、原料費も抑えられているためコスパにも優れています。サイズのカスタマイズにも対応しているため、用途に合わせて使い分けしやすいパレットといえるでしょう。
木製パレットは部分的な損傷であれば簡単に修理ができるのも特徴です。木材は湿気に弱く腐食のリスクもあるため、取り扱いには注意が必要です。木製パレットにもさまざまなサイズ・寸法がありますが、1,400×1,100mmと1,100×1,100mmが多く使われています。
プラスチック製パレット
プラスチック製パレットは、木製パレットの次によく使われているのも特徴です。主に1,400×1,100mmと1,100×1,100の標準サイズが使われています。ポリプロピレンやポリエチレン製の合成樹脂を使って作られているものになり、幅広い業界で使用されているのも特徴です。木製パレットのようにささくれが起きる心配もありません。軽量で移動させやすく、多くの荷物をまとめて積み込み(下ろし)しやすいのもあり、作業の効率化にも繋がります。化学薬品の輸送時にも使われており、医薬品の業界でも多く見かけるようになったパレットといえるでしょう。
金属製パレット
金属製パレットは、スチールやアルミニウムなどの金属をもとに作られているパレットです。そこまで大きな市場ではないものの、耐久性に優れ長く使えることからもコスパに優れたパレットとして知られています。耐荷重性のある荷物を運搬する、保管するときにも適しているのが特徴です。
また、汚れたときは洗浄もできるので衛生的にも保ちたいと考えている人にも需要があります。金属製パレットは、標準サイズである1,100×1,100サイズが多く使われています。他にも差込口の部分は60mm以上と決められてはいるものの、高さについての制限はありません。
紙製パレット
紙もしくは段ボールを使って作られるパレットのことをいいます。軽量で環境負荷の少ないマテハン機器としても注目されているのが特徴といえるでしょう。リサイクル性にも優れており、SDGsなどの取組みを考えている企業にとっても使いやすいパレットといえます。
耐久性がやや足りない部分があるため、特殊な技術を使って多少の強度を高めることはできます。紙製パレットは、廃棄するときも簡単なので、回収のリスクを減らすことにも繋がります。日本から海外に輸出するときにも使いやすいパレットといえるでしょう。
標準サイズにおけるパレットの大きさの選び方・ポイント
最後に、標準サイズでパレットを購入するときに覚えておきたい選び方のポイントを紹介します。
パレットの種類も多くどれにしたらいいのか迷っている人も参考にしてください。
積載する荷物の重量や内容物に応じて選ぶ
標準パレットを選ぶ時は、積載する荷物を考えたときに適したものかどうかで選ぶようにしましょう。
例えば、軽量で荷物の量が多いときはコスパを重視したパレット選びが欠かせません。木製パレットや紙製パレットを選ぶことで、効率的に輸送しやすくなります。環境に配慮しつつパレットを選びたいときは、紙製のパレットや段ボール製のパレットを選ぶ方法もあります。
また、重量のある荷物を移動させるときは、金属製のパレットやプラスチック製のパレットで耐久性のあるものを選びましょう。どんな荷物を積載するのかによっても、適したパレットの種類が変わってくるからこそ、効率も重視しつつ選ぶのをおすすめします。
コストを抑えたい場合はレンタルまたは中古パレットを選ぶ
標準サイズにおけるパレットを選ぶ時は、レンタルや中古のパレットを選ぶのも一つの選択肢です。レンタルパレットは、管理の手間がかからず、使い終わったものをそのまま返却するだけです。企業のなかにパレットの在庫を持つ必要もないため、管理業務を減らし効率化にも繋がります。
また、パレットを新品で購入すると高くなるため中古パレットを選びコストの負担を減らす方法もあります。中古パレットをお探しの方は「ROUTE88」にご相談ください。パレットは1枚から購入でき、種類豊富なパレットを用意しています。必要なときにすぐに届けられるように翌日発送に対応しています。
まとめ
パレットサイズは国によっても変わりますし、それぞれに決められたルールがあるのもわかってもらえたと思います。業種によっても適したパレットが変わってくるからこそ、自分たちにあったパレット選びを進めるようにしていきましょう。また、パレットのコストを抑えたいと考えている人は、ROUTE88にお気軽にご相談ください。手ごろな価格で種類豊富なパレットを取りそろえています。