効率的な物流を実現するためにもパレット梱包は最適な方法として知られています。複数の荷物を一つのパレットにまとめて積み上げる梱包方法になるため、現場スタッフの負担を減らすことにも繋がります。パレット梱包は、物流や運送の現場にとっても基本的な方法として知られています。パレット梱包のメリット・デメリットはもちろん、気を付けるべきポイントを紹介します。また、パレット梱包には必須のラップ巻きのやり方についても説明しますので、参考にしてみてください。
もくじ
パレット梱包とは?

パレット梱包は、複数の荷物を一緒に積み上げていく方法です。
たくさんの荷物をまとめて載せ移動できるため、フォークリフトを使って一気に移動することができます。そもそもパレットとは、商品などの荷物を載せるための荷台です。単位ごとに商品をまとめて、パレットをフォークリフトで移動させ輸送や保管として使用します。手作業で移動させるときと比較して作業を大幅に効率化でき、世界中の物流でも利用されています。
一口にパレットといっても種類や形状もさまざまで、輸送する商品の大きさや内容によっても変わってきます。パレットの積みやすさや保管方法も変わってくるため、商品に合わせて適切なパレットを選ぶことが大切です。また、パレットには材質による違いもあり、作業環境にあった材質を選ぶと安全に活用できるようになります。
パレット梱包とスキッド梱包の違い
パレット梱包と同様に、荷物を効率的に運搬するために使う梱包方法に「スキッド梱包」があります。
スキッド梱包は、荷物を積み上げて行く方法なのでパレット梱包と大きく変わりません。パレット梱包は、ブロックやケタなどの木材部分にデッキボードがついており、高い安定性が期待できます。パレットごとに分けて保管したり輸送するなど効率的に使用できるのも特徴です。
それに対してスキッド梱包は、すのこのような見た目になりデッキボードがついていません。木材として使用する量も少なく、低コストで運用でき大型のものや重量感のある荷物を輸送するときに適しています。ただし、積み重ねておけないため、運搬効率が下がってしまうこともあります。
パレット梱包のメリット

パレット梱包にはさまざまなメリットが期待できます。
具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
運搬効率が向上する
パレット梱包は、運搬効率を高めるメリットが期待できます。手動では難しい大量の荷物をパレットに載せて運び、作業員の負担や手間を減らすことにも繋がります。また、パレットの上部には遮るものもなく、積み降ろしのときにも死角を減らし、積み残しの心配を減らせるようになります。また、運搬した荷物をパレットごとにまとめて管理ができるため、商品の在庫を把握しやすくなり効率を重視できるのも特徴です。
保管・運搬スペースのムダを削減できる
パレット梱包は、保管や運搬スペースのムダ削減にも繋がりやすくなります。大量の商品を保管したいと思っても使用できる倉庫のスペースは限られています。パレットを使えば、荷物の積み上げができるようになるため、省スペースでも保管ができるようになります。また配置が明確になるため、在庫の把握がしやすくなり、保管する際のスペースを有効的に使用できるようになります。倉庫以外にもトラックへ積み込むときのスペースの有効活用にも繋がります。
荷物の破損リスクを低減させられる
パレット梱包でまとめて載せることで、積み替え作業を大幅に減らすことができます。積み替えの頻度が多くなると、商品を傷つけてしまうリスクも高まります。パレットのなかに固定することによって輸送中の揺れや衝撃を受けにくくなります。また、しっかりと固定することによって荷物のズレや摩擦が起こりにくくなり、押しつぶしのリスクを減らすことに繋がります。荷物の破損は信用問題にも影響するからこそ低減させるための対策が欠かせません。
パレット梱包のデメリット

パレット梱包には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
パレット梱包のデメリットについても見ていきましょう。
フォークリフト作業が不可欠となる
パレット梱包のデメリットとして、フォークリフトによる作業が不可欠になる点です。輸送した商品を納品するときにフォークリフトがないと、手動で移動させなくてはいけなくなります。そのため、かえって作業効率が低下してしまう恐れも出てきます。フォークリフトを操作できる人員を確保する問題も出てくるため、事前に環境を整える必要があります。他にも、フォークリフトの作業スペースを考えた通路やレイアウト設計などの準備も欠かせません。
万が一荷崩れした場合の被害は個別梱包より大きくなりやすい
パレット梱包の場合、荷物がまとまった状態で落下するようになります。そのため、個々の箱が落ちてしまうのとは違い、衝撃も大きくなり破損の範囲も広がりやすくなってしまいます。商品の破損にも繋がりやすくなってしまうため、十分に注意して葉lこぶ必要が出てきます。また、巻き込む範囲が広いからこそ周囲の荷物や設備、作業者自身にも影響が広がるおそれも考えられます。十分に固定し落下しないように工夫して輸送する必要があります。
十分な作業スペースの確保が必要
パレット梱包を活用する際は、安全なフォークリフト作業を行うためにも倉庫や向上に十分なスペースを確保しなくてはいけません。狭いスペースでのパレット梱包は、かえって作業効率が低下してしまい、荷物の破損や作業員のケガのリスクを高めてしまいます。パレット梱包を行うときは、事前にスペースを確保できるかどうかを確認することが大切です。
パレット梱包の際に気を付けるべきポイント

パレット梱包を行うときに、気を付けるべきポイントを3つ紹介します。
ただ荷物をまとめて運搬するだけではなく、安全性を高め作業員の効率を意識する工夫も重要です。思わぬトラブルにならないように、気を付けるべきポイントを確認してみてください。
●荷崩れ対策を徹底する
パレット梱包を行ううえで、荷崩れ対策を徹底することが大切です。パレットに積み込んだ荷物をそのまま運搬してしまうと、途中で衝撃によって崩れてしまう可能性も出てきます。荷崩れ対策は安全に運搬するためにも大切なポイントになります。崩れないようにしっかりと固定し、輸送中に動かないかどうか確認しつつ、準備を進めていくようにしましょう。
●異物の混入を避ける
パレット梱包では、異物が混入しないように気を付けなくてはいけません。パレットの内部に虫が混入してしまうとクレームに繋がってしまう可能性も出てきます。虫など異物の混入を防ぐためにも、窓を開けっ放しにしない、網戸を取り付けるなどの対策をしておきましょう。また、梱包で使用するカッターなどの工具が中に入ってしまわないように、置く場所を一律にしておくと安心です。梱包したあとに、決められた場所にあるかどうかを確認してから、パレットの扉を閉めるようにしてください。
●ヒューマンエラーを防止する
パレット梱包で大切なことは、業者によるヒューマンエラーを防ぐことです。ちょっとしたミスが大きなトラブルに繋がってしまうことも少なくありません。梱包の手順を間違えないように気を付けるのはもちろん、書類・付属品のような同梱物が漏れてしまうことがないように、しっかりと確認しておきましょう。必要な分だけを梱包スペースに持っていくようにして、作業が終わったあとは残数にずれがないか確認するのを徹底しておきましょう。
パレット梱包に使用する包装の主な種類

パレット梱包に使用する梱包は、大きく分けて「フィルム」と「樹脂バンド」があります。
そしてフィルムには「ストレッチフィルム」と「シュリンクフィルム」が、樹脂バンドには「PETバンド」と「PPバンド」などの種類があり、適切な使い方が必要になります。
それぞれの包装の特徴や、適したケースについて、詳しく説明していきます。
ストレッチフィルム
ストレッチフィルムは、パレットに荷物を載せたあとに仕上げとして行う梱包方法のことをいいます。事前に荷物のすき間にストレッチフィルムの先端をはさみ固定させ、人が動きながら荷物にフィルムを巻きつけていきます。2・3周フィルムを使って引っ張りながら巻きつけ、しっかりと固定していきます。上から下、下から上へと何度も重ねることによって、より安定感を作っていきます。フィルムはすき間なく巻きつけておき、最後にはさみを使ってストレッチフィルムを切って完了の流れとなります。ストレッチフィルムだけでは物足りないときは、防滑紙を合わせて使用するのをおすすめします。
シュリンクフィルム
シュリンクフィルムは、熱を加えることで収縮するプラスチック製のフィルムのことをいいます。その性質からも”熱収縮フィルム”と呼ばれることもあり、商品に巻きつけ熱をかけるとぴったり密着してくれます。運搬する荷物や容器の形状に合わせて梱包ができるため、しっかりと固定してくれます。ただし、シュリンクフィルムを使うためには専用の機械が必要になるため一定のコストがかかります。まとめにくい雑誌やペットボトルのような形状の荷物をまとめたいときにも便利です。
PETバンド
PETバンドは、ポリエステルを材料にした梱包資材のことをいいます。別名エステルバンドとも呼ばれており、石油を原料にしたポリエチレンテレフタレートにて作られています。引っ張ったときの耐久性があり、重量感のある荷物を梱包したいときにも向いています。途中でゆるんでしまう心配がないため、輸出用の梱包を探している人にも最適です。サビが出にくい材質なのもあり、耐寒性や耐熱性、透明性にも優れた素材です。また、燃やしたときの有害ガスが出にくい特徴もあります。
PPバンド
PPバンドは、樹脂製のポリプロピレンを使ったバンドのことを言います。しっかり引きしめて梱包ができる特徴があり、ビニールテープよりも滑りにくく結束しやすいバンドとしても知られています。やや柔軟性のあるバンドになるためゆるみやすさはあるものの、途中でバンドが切れてしまうことも少なく使いやすいメリットがあります。色の種類も豊富なため、種類によって使い分けることも可能です。
【パレット梱包】ラップ巻きのやり方

パレット梱包における代表的な梱包の種類は、ストレッチフィルムです。
そのため、現場ではストレッチフィルムを用いて手動で梱包する方法を「ラップ巻き」と呼びます。
ラップ巻きでの基本的な巻き方や天面の巻き方についてそれぞれ説明します。
基本的な巻き方
基本的なラップ巻きのやり方は以下の通りです。
| STEP(1) | まずは、ラップの先端をねじり玉結びにして、少し後ろにある部分を荷物の角に固定します。もしくは、先端部分を丸めて荷物のすき間の間に挟ませる方法もあります。 |
| STEP(2) | 固定したあとに下から上に巻き、ラップを密着していきます。反対にしてしまうとすき間からゴミが入りやすくなってしまうので注意してください。また、ラップは重ねながら巻き、中断部分からは何度かラップをひねり巻くようにしていきます。最低でも2周目まで巻くことで強度を高められます。 |
| STEP(3) | しっかりとラップを巻いたあとに切ります。また、切った部分はラップに密着させ、全体を手で押しながら荷物を整えて完了です。 |
ラップ巻きは、緩めすぎずに強すぎない力で巻くようにしてください。また平行に巻くのもポイントです。
下から上の手順に沿って巻いていき、斜めになっていると巻き方にムラができてしまうため、商品が落下してしまい荷崩れの危険性も出てきてしまいます。
天面(積み上げた荷物の上面)の巻き方
天面のやり方は以下の通りです。
| STEP(1) | まずは、荷物の4つ角をラップで巻きカバーしていきます。外周部分が巻き終わったあと、ラップを少し下げて対角線を意識して巻きつけていきます。外周を1/4ラップを巻いて、最後に残った角の部分をカバーするようにします。角部分をしっかりと伸ばさないよ、ゆるみが出てしまうことがあるので注意しましょう。 |
| STEP(2) | 四つ角を巻き、天面にラップがしっかりと巻かれているのかを確認します。最後に外周¼を巻き、天面より反対側の角に巻き、元の状態に戻していきます。 |
| STEP(3) | 中央部分を覆い、外周をラップで密着させたあとに、全体を手を使って整えていったら完了となります。 |
パレット梱包作業の効率化を図る方法
パレット梱包作業の効率化として、自動ストレッチフィルム掛け機を使う方法があります。手動でラッピングするときにしっかりと伸びておらず緩みがでてしまうことがあります。自動ストレッチフィルムを使えば、人力でラッピングするより何倍もの力で引き延ばしてくれます。そのため、フィルムを無駄なく使用できるようになり、フォークリフトの上からもフィルムを巻けるようになります。自動ストレッチフィルムは作業の効率化にも繋がります。
まとめ
パレット梱包は、荷物を一括でまとめてパレットに載せ運搬できる方法です。手作業に比べ作業が大幅に効率的になること、世界中で取り入れられています。パレットを使うことで、まとめて形状やサイズが異なる荷物をまとめて運搬できるようになります。パレットの梱包のやり方もさまざまなので、運搬する荷物に合わせて選ぶのをおすすめします。パレット梱包のパレットをお探しの方はROUTE88にご相談ください。