フォークリフトのパレット事故|国内における主な事例と対策方法も

フォークリフトを使用する物流倉庫・製造業の現場責任者にとって、安全に作業を行うことが重要になってきます。そのためにも、フォークリフトによるパレット事故が発生するパターンや原因について、深く理解しておくことが必要になります。事故を起こさないための対策はもちろんですが、作業ルールの見直しや安全管理体制を強化するなどの対策も欠かせません。また、必要な設備投入も含め、必要な具体策について詳しく解説していきたいと思います。

フォークリフトでの運搬中に起こり得る主なパレット事故

一般社団法人日本産業車両協会が公表しているデータによると、フォークリフトに起因した事故の発生件数は毎年多く発生していることがわかります。

2020年1,989件
2021年2,028件
2022年2,092件
2023年1,989件
2024年1,953件

(出典:一般社団法人 日本産業車両協会「フォークリフトに起因する労働災害の発生状況―厚生労働省労働災害統計より―」/http://www.jiva.or.jp/pdf/25_SafetyDay_1-1.pdf

2020年〜2024年までの5年間のデータを見ても、事故のピークは2021年と2022年となり、その後緩やかに減っていることがわかります。特に2024年は死亡事故、死傷事故とともに2年連続で減少し、死亡災害は20件を下回っていることがわかります。これは、各事業者の安全意識が高まりさまざまな対策を行っていることが関係しています。
フォークリフトに起因する事故のなかでも、パレット関係の事故の件数が多く発生しています。具体的には「パレットの荷崩れ・落下による下敷き・挟まれ」などがあります。人身事故以外にも製品の破損が起きている事故もあります。また、減少傾向ではあるもののパレット上の作業中の転落も以前として報告されており、フォークリフトによる事故は後を絶ちません。

パレット事故の具体的な発生原因

フォークリフトの作業中に発生するパレット事故の多くは、荷崩れやパレットそのものの落下をきっかけに起きていることがわかります。もちろん、作業現場では普段から十分に気をつけているため、自社で重大な荷崩れや落下事故が起こることはないと考えています。

とはいえ、実際に事故は発生し、多くの死傷者が出ている状態です。パレット事故の発生原因は、単に不注意によるものだけではなく、設備の状態や積載方法・管理体制・作業環境などのさまざまな要因が絡み合って起きています。

そのため、作業者が日頃から注意していれば防げる問題とはいえません。パレットの事故のリスクを最大限低減させるためにも、まずはどのような事故が起きているか、原因をしっかりと把握しておきリスクに備える必要があります。

パレットの劣化・破損の見落とし

パレットの劣化・破損に気付かずそのままにしていたことで、フォークリフトの差込ができなくなり倒壊の危険性による事故が発生してしまう場合もあります。定期的なパレットの破損状況の確認が行われておらず、記録としても残っていないことも要因として考えられます。そのため、スタッフも情報が共有されておらず、破損したパレットをそのまま使ってしまっていました。パレットは使っているうちに徐々に劣化が進んでいくため、開始前に点検することを習慣化しておき記録に残す必要があります。

過積載・重量バランスの偏り

過積載とは、本来の最大値よりも多く荷物を積み込むことをいいます。ちょっとした揺れや衝撃によって荷物がバランスを崩しやすくなり倒壊の危険性を高めてしまいます。重心のバランス=偏荷重は重心の位置が前後左右などずれている状態になるため、横転のリスクも高めてしまいます。特に、重さのある機械を運ぶときなどに起こりやすく、適切な対策が必要になります。他にも、荷物の滑落による荷崩れもあるため、移動しないようにするためのベルトやストレッチフィルムも欠かせません。

不適切なフォーク差し込み

パレットの差込口にフォークリフトをさして移動することで、大量の荷物を一気に運ぶことも可能です。ただ、フォークの適切な使い方を誤ったばかりに事故に繋がってしまうこともあります。具体的には、作業中に手前にあるパレットをフォークリフトで積み上げようとしたときに長さを誤ってしまい、倒壊してしまうこともあります。これは、フォークリフトの運転席からは差込長さの把握がしづらいことが関係しています。倒壊すれば商品の破損にも繋がるため十分に注意することが大切です。

荷締め・固定不足

パレットだけでは、商品が安定せずに荷締め・固定不足による事故が起きてしまうことも少なくありません。特にバランスを崩しやすいものは、荷崩れ防止バンドやストレッチフィルムを適切に装着することが大切です。なかには、装着されていると思い確認もせず、普段通りに荷卸しをしたときに荷物が崩れてしまい、事故に繋がる危険性も考えられます。荷物が落下すれば破損にも繋がり、運搬している作業員にとっても危険を伴うため、事前に確認することも大切です。

空パレットの積み上げすぎ

空パレットの積み上げについて法律で定められた高さが存在するわけではありません。現場の判断にゆだねられている部分が大きいため、実際には現場任せになってしまっています。一般的には、人間の身長を超える高さまでパレットを積み上げてしまうと、ちょっとした衝撃や揺れに弱くなるといわれています。空パレットを積み上げるときに、不適切な方法やバランスがとれていないことが事故に繋がることもあります。

用途外使用(パレット上での作業)

パレットの作業中の転落の多くは用途外使用によるものです。フォークリフトのパレット上で人を持ち上げる作業の多くは、用途外使用になり労働安全衛生法令上の禁止事項に該当します。それにも関わらず、一部の現場では続けてしまっているため事故の要因になっています。その背景には、高所作業車を手配するための手間やコストを抑えたい、短時間の作業だから問題ないなどの安易な考えがあります。また、昔から作業効率優先になってしまっていた文化も関係しています。

作業環境・レイアウトの不備

作業環境そのものに危険性が残っていることも考えられます。例えば、フォークリフトが通る通路に段差があり地面が凹凸している状態のままになってしまっていませんか。トラックの荷重によりくぼみができ、フォークリフトが通るたびに車体が安定しない状態になってしまうことも考えられます。他にも動線が入り組んでいる場合は、運転そのものが難しくなってしまいます。人間がどんなに気を付けていても、事故に繋がる危険性が潜んでいる作業環境もあるのです。

国内におけるパレット事故(労働災害)の事例3つ

国内におけるパレット事故(労災被害)で多い事例について紹介します。

フォークリフトでのパレット移動中に作業者に激突・負傷

フォークリフトでパレットの移動作業をしているときに、前方が見えなくなり歩行中の被災者に接触してしまった事故が起こりました。パレットの最下段の部分に両足首が当たってしまい、ケガが発生しています。この要因としては、フォークリフトのフォーク部分にパレットを高積みしてしまっていること、前方が見えない状態で作業を進めてしまったことにもあります。また、被災者側も後方からくるフォークリフトに気付かなかったことで、衝突や負傷事故となっています。

業種:一般貨物自動車運送業

現場規模:30人~99人

発生要因:作業方法の欠陥

類似事故を発生させないためにも、フォークリフトの扱い方に十分に注意する必要があります。

パレットの積み上げすぎはもちろん、見づらいときは後進走行をして視野を広く持つ必要があります。また、近くに接近したときに警告音や警光灯を設置して気付きやすくなるような事前の対策を行う必要も出てきます。また、作業エリアをわけることで、フォークリフトと人間の接触事故は起こりにくくなります。

フォークリフトでボックスパレット運搬中に作業者に落下・死亡

フォークリフトを使いボックスパレットを運搬するときに、バランスを崩したことで事故の原因となったケースも考えられます。プレス加工工場内にて実際に起きている事故になり、最大積載荷重1.5tのフォークリフトにブレスされた商品を4段のせ工場内を走行しているときに起こりました。通路の溝部分を乗り越えたときにフォークリフトの振動がおき、ボックスパレットが右側に傾きました。その後、ボックスパレットを下ろすためにフォークリフトを一旦停止させたときに、そのまま崩壊し通路にいた別の作業員に直撃することで事故が発生しています。

業種:自動車・同付属品製造業

現場規模:300~999人

発生要因:通路が確保されていない

当時は休憩所が全面的に解放されていたこともあり、適切な安全対策が行われていない状態でした。また、フォークリフトの運転者に対して、安全な取り扱いかたに関する説明を十分に行わないまま使ってしまっていたそうです。ボックスパレットを4段積みにしていたことも、積荷の重心が高くなり安定度が悪くなる要因として考えられます。事前に現場の段差をなくす対策はもちろん、積荷を安定させるため重心を低くするなどの対策が必要です。

フォークリフトのパレット上で作業中に墜落・死亡

作業を行うために、建物の入口の上部にあった鳩よけのネットをとる必要がありました。フォークリフトの運転資格を持っていた作業員が、工場で借り足場として乗ったことによる作業中の墜落・死亡です。要因としては、事前に作業計画を立てずに進めてしまったことや、現場任せの対応になっていたことも考えられます。また、墜落にとる危険性を考え、墜落防止の手すりなどの対策を行っておらず、安全な作業床などを設けずに使用していたこと、安全衛生教育を実施していませんでした。

業種: その他の建設業

現場規模: 1~4人

発生要因:安全の不確認(以前の)/省略行為

フォークリフトのパレット上で作業中に墜落・死亡を防止するためには、事前の作業計画を行うことはもちろん高所での作業は、場所(地形・広さ・高さ)などをもとに決定し作業を進める必要があります。また、適切な防止措置を行うこと、フォークリフトの転倒の恐れがない場所に置く必要があります。

パレット事故を防ぐための対策方法

パレット事故は単一の対策で防げるものではありません。最大限防ぐためにも「作業ルール」「管理体制」「設備・テクノロジー」の3つの観点から、適切な対策を考えることが大切です。

作業ルールの明確化

パレット事故の多くは、過積載、不適切な積み付け(パレタイズ)、荷締め不足、劣化パレットのような基本的な作業管理ができていないことで起こっています。

  • 最大積載荷重の遵守
  • 空パレットの高さ制限の遵守
  • 重量バランスを意識した適切なパレタイズ
  • ストレッチフィルムやバンドによる確実な固定
  • 使用前点検の実施

それぞれを個々の注意点として挙げることはもちろん、作業ルールとして標準化しておく必要があります。

新しく入った作業員に共有できていないなどのルールの共有化ができていない状態での作業にならないように、しっかりと対策を行いましょう。

安全管理体制の整備と定期的な安全教育

作業現場で、安全管理を作業員任せにしたことで起こる事故もあります。

忙しい中でも、役割や責任を明確にしておきましょう。

また、作業手順書を準備して事前に作業計画を作成することで、突発的な事故を防ぐことにも繋がります。

さらに、定期的なフォークリフトのメンテナンスを行い安全に使用できる状態にしておくこと、破損しているパレットをそのまま使うのはおすすめできません。

他にも、事故の要因として多い用途外使用にならないように、墜落・荷崩れリスクの具体例共有、新任者への教育徹底を継続的に続けていくようにしてください。

安全対策機器・テクノロジーの活用によるリスク低減

現代はテクノロジーの進化も進んでいます。人間に任せすぎる運用は、ヒューマンエラーを起こし何かしらのトラブルや事故に繋がることも考えられます。テクノロジーを活用することによって、リスクを軽減しつつ安全な作業に繋げることができます。例えば、カメラ・センサー・AI検知システムなどの仕組みを導入し、人間だけでなくルールを徹底すること、設備を導入するなど多重防護を行うことをおすすめします。ヒューマンエラーは完全には排除できないからこその対策が重要になってきます。

まとめ

パレット事故は声掛けだけでどうにかできることではありません。事故が起こりにくい環境を作るのはもちろん運用や設備面などを整えていくことが大切です。また、社内ルールを徹底し、安全に運用するためのルールを共有化するなどの対策も必要になってきます。パレット事故のなかには適切な管理ができておらず起きてしまうものもあります。レンタルパレットを使うことで管理やメンテナンスを行い、安全に作業を進めることもできます。

私たちは持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
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