海外輸送の梱包時によく使われているスキッドは、下駄を使い製品を固定して行うものです。安定した状態で輸送できることもあり、重量感のある工場製品を運びたいときにも役立ちます。そんなスキッド梱包とはどのような方法で行うものなのか、パレット梱包との違いについても説明していきます。スキッドに向いている荷物とそうでない荷物も含め、梱包について正確に理解することが大切です。スキッドについて理解し、スムーズな海外輸送に繋げていくようにしましょう。
スキッドとは?

スキッドとは、JIS規格上で定義されている単面形のパレットのことをいいます。主に、ハンドリフトトラックを使って荷役ができるように作られているものになります、スキッド梱包とも呼ばれているもので、下駄(ゲタ)や腰下を使って荷物の輸送や保管にも使います。スキッドは、底面に板がついていないシングルデッキタイプのものが多いため、主に荷物を運送するときや保管時にも見られているものです。大型の荷物を梱包するときや、保護の必要がない荷物の簡易包装にも選ばれます。
【項目別】スキッドとパレットの違い

一般的な積荷作業では、スキッドを用いられることが少なく、パレットのほうが主流です。とはいえ、スキッドとパレット梱包には多くの違いがあるからこそ、それぞれの違いを理解したうえで適切な梱包を行う必要があります。パレット梱包についてより詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
内部リンク:パレット梱包とは?メリット・デメリットから基本的なやり方まで
構造
パレットは、基本となる構造をデッキボード・ケタ(ブロック)・差込口にて作られています。デッキボードは、パレットを平置きした際に平行になる部分でエッジボードとも呼ばれているものです。ケタ(ブロック)は、上と下の板をつなぐものになりブロック状にできています。
スキッドはの構造は、梱包するものがソリに乗ったような姿になり、上部のみあり下部にはデッキがついていないのも特徴です。それぞれを比較してみると、荷物の種類を選ばずに使えるのがパレット梱包でもあり、スキッドは工業用品や食品などを輸送するときに多く使われている方法と言えます。
安定性で見てもパレットよりもやや不足している部分もあり、輸送時の衝撃によっては影響が出てしまうことも考えられます。慎重に取り扱うなどの工夫も必要になるため、荷物によってパレットとスキッドを変えてもいいでしょう。
差し込み方向
パレットやスキッドの差込口の違いは、輸送時の効率にも影響してきます。パレットになると、種類によって異なりますが四方差しのように向きを選ぶことなく、フォークリフトのツメをさせるものも多くあります。倉庫で荷積みをするときに向きを気にすることもないため、使いやすい特徴を持っています。スキッドになるとシンプルな構造なのが基本となるため、二方差しのものが一般的になります。
四方差しと比較すると、スキッドの特定の方向のみで使えるようになるため、やや使いにくさを感じることも少なくありません。桁の間隔などは、あとから調整もできるため荷物に合わせて変更することは可能です。フォークリフトの使いやすさという点でも変わってきます。
サイズ・規格
パレットとスキッドはサイズ・規格面での違いも出てきます。一般的にパレットでよく使われているのは1100mm×1100mの「T11型」と呼ばれているものです。輸送効率を高めるためにパレットの標準化が進んでいるため、国内ではT11型のものを多く見かけます。スキッドの場合は、荷物のサイズ・規格にあわせて作られることが多くなるのも特徴です。
そのため、パレットのような統一された規格が存在するわけではありません。この違いから見てもパレットはどのような荷物にも使いやすく、再利用ができ無駄が少ない方法と言えます。スキッドは、汎用性には優れていないため個別対応が必要になることや一回限りで使うことが中心となってきます。
保護性能
パレットとスキッドで梱包方法に大きな違いがあるわけではありません。
形状も似ているものの、デッキボードが上下についているのがパレットになりますし、下についていないのがスキッドでもあります。梱包するときは、荷物を荷台に直接載せたうえで、バンドやフィルムを使って固定していきます。画一化しているパレットとは大きく異なる点として、一つ一つの商品に対してスキッドを製作しています。事前に重量もしっかりと確認したうえで計算し、耐久性を考慮した上で作られています。大切な商品を守るためにも固定して輸送できる点もあり、保護も期待できると言えるでしょう。
安定性
荷物を輸送するうえで安定性も重要になってきます。
スキッドの場合は、地面との摩擦の心配が少ないこともあり重量感のある荷物も、しっかりと保護して輸送できます。とはいえ、スキッドもデッキボードがない分安定性に欠けてしまう問題も出てきます。なかでも重心の高い基材を輸送するときに、揺れが原因となり途中で転倒してしまったり、横倒しが起きてしまうこともあります。四方の支えがない分、固定にて強度を高められるかが重要になってきます。
パレットは積み重ねて輸送することも多く、途中での荷崩れのリスク対策はしっかりと行う必要があります。パレットもスキッド梱包も、荷物の下からバンドを通して器具を使い丁寧に固定していきます。フォークリフトで持ち上げたときにも、滑り落ちてしまうことのないように安全対策を行いましょう。
段積みの可否
スキッド梱包は、基本的に荷物の積み重ねができない仕様になっています。そのため、空間効率を有効的に使いたいと考えている人にとっては、やや使いにくさを感じることも少なくありません。狭いスペースのなかで複数の貨物を収納・輸送するときにも不便さを実感することもあります。
実際に、倉庫にて保管するときも一段置きが基本となるため保管しにくさを感じることもあります。その点、パレットは段積みができるため、狭いスペースであっても荷物を積み上げて効率的に使用できるようになります。倉庫のスペースや、どのくらいの荷物を一緒に運びたいのかによっても変わってきます。
向いている荷物
パレットやスキッドでそれぞれ向いている荷物も変わってきます。パレットは、段ボールの中にあるような梱包済みのものを運びたいときにこそ便利です。段ボールを積み重ねておき、ストレッチフィルムを使って崩れないように固定します。
食料品などの保管にも適しているため、米・小麦などの粉状のものや液体を輸送するときにもパレットを使うようになります。スキッドは、大きなものや重量のあるものを運ぶのに適しているため、大きなものをまとめて輸送したいときにも役立ちます。具体的には大型産業機械や建設機械・発電機・重工業製品などを輸送するときにも使えます。
スキッド梱包の魅力・メリット

パレット梱包ではなくスキッド梱包で荷物を輸送することには多くの魅力やメリットがあります。
具体的にどのようなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
梱包コストを削減できる
スキッド梱包は、コストを削減できるメリットも期待できます。梱包で使用する材料も最小限と少ないためコストを大幅に抑えられます。一般的なケース梱包と比べても4割ほどコストを削減できることもわかっており、材料費や工数を削減しつつコストを抑えた梱包を実現してくれます。そのため、ワンウェイ輸送に用いられることが多く、回収コストも少なくなります。
重量物の取り扱いがしやすくなる
スキッドは底板がついていないため、重量物でも地面との摩擦の心配もありません。そのため移動がしやすく、輸送の効率化に繋がるメリットも期待できます。重量物は滑らせて移動できるため、負担も少なくなります。箱詰めする必要もありませんし、重量を軽く抑えられ輸送時のコスト削減にも繋がります。重量物の輸送を考えている人にとってもメリットと言えるでしょう。
梱包時の高さを低く抑えられる
スキッド梱包は積み上げができない分、梱包時の高さを抑えたいときにも便利に使えます。外装箱を持っていない特徴もあるため、他の方法と比較すると15cm程度高さを抑えられる特徴も持っています。海外輸送などのコンテナを使うときに、高さの制限もあるためスキッドを使うことでスムーズな輸送を実現できるようになります。
通気性に優れている
貨物の周囲を囲わないため、通気性に優れている徳量も持っています。日本のように湿度が高い地域でも内部に湿気がこもりにくいため、結露の心配を減らすことにも繋がります。湿気が多いままで運んでしまうと、中でカビが発生してしまうため空気の流通経路を作り、良い状態のままで届けられるようになります。通気性はもちろん、乾燥性にも優れています。
環境負荷の低減に貢献できる
スキッドは使用する資材の量が少ないため、廃棄物を減らしたいときにも便利です。環境面への考慮が求められているからこそ、輸送時の燃料を減らせるようになると、輸送によるCO2の排出量を減らすことにも繋がります。環境問題に取り組みたい企業にとっても、環境負荷の低減に貢献できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
荷物別 | パレットとスキッド使い分け

パレットやスキッドにはそれぞれ適した荷物の種類があります。
輸送を安全・効率的に行うためにも使い分けが重要になってきます。
具体的にどのような使い分け方法があるのか詳しく見ていきましょう。
スキッドに向いている荷物
スキッドに向いている荷物は、主に以下の内容です。
- 重量感のある大型のもの
- 大型のものを少数輸送したい
- 一時的な保管や展示会の荷物を運びたい
- 産業機器などの大型の機材を運びたい
パレットに向いている荷物
パレットに向いている荷物は、主に以下の内容です。
- 細かいものを大量に運びたい
- 液体のものや粉粒体のもの
など、さまざまなものを輸送したいときに使えます。
パレットの種類も多いため運搬する荷物に合わせて適切なものを選びましょう。
>>パレットの一覧はこちら
スキッド梱包の注意点・デメリット

スキッド梱包には多くの魅力・メリットがある一方で、少なからず注意点やデメリットもあります。
具体的にどのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
段積みができないた輸送効率が低下するおそれがある
スキッド梱包は、荷物を積み上げることができない梱包方法になります。なかには、複数の荷物を同時に運び輸送効率を高めたいと考えている人もいるのではないでしょうか。空間をうまく使えなくなってしまい、余計なスペースが生まれてしまうことも少なくありません。保管するスペースも必要になるなど、倉庫にもある程度の広さが必要になります。トラックに載せるときにもスペースが空いてしまうため、効率の低下に繋がるデメリットも出てきます。
汎用性が低く用途が限定される
デメリットのなかに、汎用性の低さも考えられます。適材適所での使用が基本となるため、利用できるシーンが限られてしまいます。大型のもの・重量のあるものでないと、過剰な梱包になってしまう可能性も出てきます。また、精密機器のように細かな梱包が必要なものには梱包が十分とは言えません。すべての荷物に適しているとは言えない点も、デメリットとして考えられるでしょう。
国際輸送時は植物検疫措置に関する規制への対応が不可欠
スキッドを使った国際輸送時は、「国際貿易における木材こん包材の規則」があるため、植物検疫措置における規制への対応も欠かせません。国際ルールである「ISPM」によって、厚さ6mmを超える場合は、事前に熱処理(HT)や誘導加熱処理(DH)を行わなくてはいけなくなります。
さらに、所定のマークをわかりやすいように表示しなくてはいけなくなるなど、手間もかかるようになります。手続きがきちんとできていないと、輸送ができなくなってしまうため注意しましょう。スキッドを使って国際輸送を行うときは、IPPCマークがついているものを使用する、もしくは消毒処理をしておく必要があります。
まとめ
スキッドを使った梱包は、輸送するときに配慮が必要な荷物を運びたいときに適した方法です。汎用性の高いパレットとは違いもありますが、大切な商品をしっかりと守りつつ気候的なリスクを減らせる点も大きなメリットです。スキッドやパレットなど必要な梱包資材をコストを抑えつつ用意したいと考えている人は、ROUTE88にお気軽にご相談ください。