物流担当者にとって、限られたスペースのなかで倉庫保管率を高めるためにはどうしたらいいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。倉庫には大量の荷物が保管されていますし、コストの削減や生産性を高めることにも繋がります。とはいえ、倉庫保管効率を高めるために何をしたらいいのかポイントがわからず戸惑っている人もいるのではないでしょうか。倉庫保管効率を高めるための什器も含め、詳しく解説していきたいと思います。
もくじ
物流の6大機能における「保管」とは?

物流における保管とは、物流に欠かせない6大機能の1つとしても知られています。保管の基準として貨物を一定の場所におき、品質や数量などを適切な管理下において蔵置することでもあります。
入庫から配送までの流れを円滑にするために欠かせないもので「保管」「荷役」「流通加工」「包装」「輸配送」「情報システム」のなかに含まれています。
また、保管機能には、主に3つの修理があり「需給調整機能」「運送調整機能」「物流拠点機能」に分類できます。需給調整機能は、需要に応じて適切なタイミングにて供給する、輸送調整機能はたくさんの物資を輸配送するために小分けにすること、物流拠点機能は加工や包装などの活動を提供することをいいます。
倉庫保管効率を高めることの重要性

倉庫の保管効率は、高いに越したことはないと多くの人が理解しています。とはいえ、効率を高めることで具体的にどのようなメリットが得られるのか把握できていないケースも少なくありません。倉庫保管効率を向上させることが企業にとってどのような意味を持たせるのか重要性について説明します。
コストの削減
倉庫保管効率を高めることで、コストの削減に繋がりやすくなります。人件費の高騰の影響もあり、倉庫の料金も上昇しています。そのため、できるだけコストを抑えつつ倉庫を使いたいと考えている企業にとっても大きな負担になってしまいます。できるだけ無駄なスペースを使わずに、荷物の配置をしたいと考えているのではないでしょうか。コストを抑えるためにも、保管効率を向上させスペースを有効的に使用できるように変えていくことも重要になってきます。
生産性の向上
物流担当者にとっても、輸配送の生産性を高められることが重要です。近年は、注文後翌日配送など早期で届けることが主流となっているため、スピーディーな対応が求められます。生産性を高めたいと考えていても、何から始めたらいいのか戸惑うこともあると思います。ロケーションの見直しはもちろん、在庫を管理すること、保管方法の見直しを行い倉庫保管効率を高めることによって生産性を高めることに繋がります。
将来的な事業拡大への対応
ビジネスとして成長するためにも、取り扱っている商品数を増やしたときに柔軟に対応してくれる倉庫かどうかも重要になってきます。倉庫の保管効率が悪いままで事業を広げてしまうと、事業拡大のタイミングで倉庫の見直しも必要になってしまいます。業務が円滑に進められるようにするためにも、取り扱う商品が増えたときに柔軟に対応できる環境を用意できるかどうかです。
倉庫保管効率を高めるために解消すべき3つの「スペースロス」

倉庫保管効率を高めるためにも、まずはスペースロスに向き合い改善していく必要があります。
具体的には「平面ロス」「高さロス」「山欠けロス」の3つのスペースロスを解消することが重要です。
具体的にどのようなロスになるのか、詳しく解説します。
(1)平面ロス
平面ロスとは、平面スペースが活用できていないことによる無駄なスペースができてしまっている状態です。平面スペースのなかには商品が置かれずに、そのままになっていることもあります。配置を見直すことで通路の確保もできますし無駄を削減することにも繋がります。陳列の方法は適切かどうか、スムーズに作業ができるだけの通路スペースを確保できているかどうかも確認しておきましょう。平面ロスを減らすためには、商品の専有面積を高めることによって効率も変わってきます。
(2)高さロス
高さロスとは、倉庫の中で立体的な空間を使えていないことによって起きるロスです。設置している棚と天井の間に大きなすき間が空いたままになってしまい、スペースの有効活用ができていません。効率を高めるために保管量を増やしたいと考えているのであれば、いかに商品を積み上げられるかどうかです。保管するときに平面ではなく立体を心掛けるようにしてみてください。作業がスムーズにできるようになりますし、コストの削減にも繋がりやすくなります。
(3)山欠けロス
山欠けロスは、商品の間に余計なすき間ができてしまっているロスです。保管するときの配置が適切な状態でないと非効率的ですし、スペースを有効活用できていない状態になってしまいます。商品のサイズがそれぞれ異なると、棚のサイズも合わずすき間が生まれやすくなってしまいます。そのため、ある程度まとめられるものはそろえておき、レイアウトの見直しも定期的に行うのを推奨します。山欠けロスにならないようにするためにも、空いているスペースに寄せ整理整頓も心掛けるようにしていきましょう。
現在の倉庫保管効率を把握する計算方法

倉庫保管効率を高めるためにも、現状の把握も不可欠となります。
現在はどのような課題があるのかを知るために、把握するポイントを紹介します。
STEP1:商品の保管方法に適した理論的な倉庫スペースを算出する
倉庫保管効率を把握するためにも、まずは商品の保管方法に適した理論的なスペースの算出が必要です。
保管する方法によってもスペースの使い方が変わってくるため、必要な計算式を使うようにしてください。
- 奥行 1.2m
- 幅 2.6m
- 通路 3.0m
- 段積み 3個
の場合は、(1.2+3.0÷2)×2.6=7.02㎡
といった計算式になります。通路部分を割って2つにしているのは背中合わせでラックを置いたと想定しているため、使用する通路の幅が少なくなるため、割って公平な数字を出すようにしています。
STEP2:算出したスペースと実際の使用スペースを比較する
STEP1で理論的に必要な倉庫スペースを把握したあとに、実際に使用している倉庫のスペースとの比較をもとに分析を行います。計算した結果、必要以上にスペースを使っているのであれば、ロスが発生している可能性も高くなり、早急な見直しが必要になってきます。
前述でも説明した通りロスにも種類があり、平面ロスや高さロス・山欠けロスなどの視点で無駄があるかどうかを確認するようにしてください。パレットの数を減らしてまとめることによって、スペースの無駄を省けるようになるからこそ、積極的に活用していきましょう。
倉庫保管効率の向上につながる6つの保管什器

倉庫保管効率を高めるためには「商品やスペースに適した保管什器を選ぶ」ことも重要になってきます。限られたスペースのなかで、保管什器を最適化させることで保管する量を増やし効率を高めることにも繋がります。具体的にどのような什器があるのか、スペースロスに適している使い方も説明します。
積層ラック
積層ラックとは「積層棚」とも呼ばれることがあり、スペースを立体的に使いたい人向けの保管什器です。
長い足がついているタイプが多く、空間を有効的に使いたい人にとっても使いやすく無駄がなくなります。また積層ラックの特徴として組み立てや解体も比較的簡単にできるため、必要なときにすぐに使えます。倉庫が移転になったときにも解体して運べるため負担が少なく使えるのも特徴です。積層ラックにも昇降機能つきのものもありますし、可動式になっているなど用途に合わせて選べる柔軟さも特徴です。積層ラックは、商品に応じて適切なものを選びましょう。
高層ラック
空間を有効的に使いたいときに、高層ラックは役立ちます。縦の空間を最大限に使えますし、ケースごとでまとめてもいいですしバラで保管したいときにも便利です。高さもあるため重量・大型の荷物よりも小さな商品を保管したいときに向いています。特に、高所になると人の手では上げ下げするのが難しい部分もあるため、ハイピックランナーなどの専用の装置が必要になってしまいます。とはいえ、初心者でも使いやすい装置になるため、狭いスペースでも十分に使えると思います。細かいものを大切に保管したいと考えている人にとっても、高層ラックが使いやすいのでおすすめです。
パレットラック
自由度が高く使いやすいのがパレットラックです。一つの棚に載せられる荷物の耐荷重が500kgを超えるものも多く、そのままパレットに入れて保管できるため輸配送がしやすい特徴もあります。日頃からパレットを使っている倉庫では取り入れやすい方法になるためおすすめです。パレットトラックは、柔軟に対応できる良さもあります。フォークリフトに合わせて棚を調整することもできますし高さを自由に決められるため、調整しつつ効率を高められる方法を探せます。取り扱う商品が変わっても調整できますし、組み立てや分解も簡単にでき移動のしやすさも確かです。
移動ラック
移動ラックは、設置しているレールを使って移動するラック形式の什器のことをいいます。種類もさまざまなので電動式で動かせるものもあれば手動で行うものなど、運ぶ荷物によって移動ラックの種類を選択できます。予算を抑えつつ導入したいのであれば手動式がおすすめですし、電動式は高いもののスペースを有効的に使える利便性も期待できます。
他にも、ハンドル式は手動と電動の中間的な使い方ができるので、迷ったときは選択してみてもいいでしょう。商品にあった移動ラックを選ぶことで作業効率を高められるようになるので取り入れてみましょう。
プッシュバックラック
プッシュバックラックは、押し込み使用できるタイプの什器のことをいいます。事前に入れている荷物は、後から入れた荷物を取り出すときに自重の力を使って流れるようになります。そのため、荷物をそれぞれ出す必要もなく、取り出すための作業スペースも必要ありません。イメージとしては、コンビニなどで缶ジュースを出すときをイメージするとわかりやすいと思います。従来の棚を使うよりも通路に使う面積がなくなるからこそ、狭い倉庫であっても使いやすい什器と言えるでしょう。
自動倉庫システム
自動倉庫システムは、コンピューターを使って動きを制御している倉庫のことをいいます。ベルトコンベアなどの装置を使い、電動で荷物の出し入れを行います。自動で作業ができることもあり、スペースを無駄に使うことがありません。倉庫のスペースをもっと有効的に使いたいと考えている人にとっても使いやすいシステムと言えるでしょう。
倉庫保管効率を高める際は「作業効率」とのバランスも重要!

最後に、保管効率ばかりを重視してしまい作業効率が下がってしまっては本末転倒になります。
そのため、作業効率そのものに目を向ける必要も出てきます。
倉庫保管効率を維持しつつ作業効率も高める方法について紹介したいと思います。
出荷頻度に合わせてロケーションを最適化する
倉庫保管効率と作業効率を意識するうえで、出荷頻度に合わせロケーションの最適化を行う方法も必要です。そもそもロケーション管理とは、倉庫のなかで商品を管理しやすくするために番号・番地を使って管理する方法のことをいいます。大量の商品があっても一目で把握できますし、探す手間を減らして業務効率を高めることにも繋がります。見る人によって荷物の場所がわからなくなってしまう心配もなくなり、さまざまな商品の在庫があってもスムーズに対応できるようになるのです。
ロケーションにも種類があります。
フリーロケーション:空いたスペースに柔軟に商品を集め効率的に活用する方法です。
一定の位置に商品が安定しないため、適切に管理する必要も出てきます。
固定ロケーション:商品によって決まった場所に保管する方法になり、シンプルで使い勝手の良さが特徴になります。レイアウトの変更もしやすく柔軟な対応が求められます。
無駄のない作業動線を設定する
保管効率と一緒に移動や作業に無駄がないか作業動線の確認も必要になります。保管効率ばかりを重視してしまうと作業が思うようにできずピッキング作業にも支障をきたすようになってしまいます。広い倉庫内で、動作に無駄がある状態では、余計に時間がかかってしまいます。作業動線を短縮して効率を高めつつ、倉庫レイアウトの見直しを行うようにしてみてください。
まとめ
倉庫保管効率を高めるためにも、まずは現状を把握したうえでどのスペースに無駄があるのかを明確にしていくことも大切になってきます。ロスになっているスペースがわかったら、必要な什器や動線の見直しなど作業効率と倉庫保管効率の両方を高められるようにしていきましょう。パレットや什器の購入についてお悩みの方は、中古も数多く扱っているROUTE88にお気軽にご相談ください。