物流パレットの購入費用を、減価償却するべきか消耗品費として計上するべきか、詳しく知りたい経理担当者や事業者の方もいるのではないでしょうか。
パレットも枚数を購入すると大きな費用になりますし、計上する方法によっても、経費の割合も変わってくるからこそ、少しでもお得な方法で行いたいと考えている人もいると思います。物流パレットの減価償却の方法や、パレット以外の物流機器の減価償却の考え方についても、詳しく解説していきます。
もくじ
そもそも減価償却とは?

減価償却とは、企業の会計にとっても重要なものになり、財務状況を適切に把握するために行うものです。
そもそも減価償却とは、時間の経過でそのものの価値が減少する「固定資産」が対象となります。取得するためにかかった費用を、耐用年数に応じて分割し計上する方法です。耐用年数とは、減価償却できる資産を実際に使用できる期間のことをいい、使用年度が長くなればなるほど、価値が落ちていきます。毎年行う会計でも適切に反映させる必要があり、使用可能期間のことをいいます。
物流パレットの数によっては、総額100万円近くになることも少なくありません。すべてを経費として計上するのではなく、毎年費用計上していき、分割するイメージになります。計上できる金額は、算出方法によっても異なり「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に詳しく記載されています。
ただし、減価償却はすべての資産が対象になるわけではありません。
事業者にとって資産となるもので、時間の経過で価値が減っていくものが対象です。無形固定資産だけに限らず、有形固定資産も対象となります。また、減価償却の対象外となるものは、時間が経過しても価値の変わらないものや、事業用として使用していないパレットなどです。
物流パレットは減価償却できる?

物流パレットは減価償却できますが、実務上は「消耗品費」という勘定項目で計上することがほとんどです。とはいえ、減価償却できる基準や、消耗品費になるポイントなどもわかりにくいと感じている人もいるのではないでしょうか。また、基本的には物流パレットをセットで購入したとしても、1枚ごとのカウントになります。物流パレットの経費として考えるときのポイントを紹介します。
物流パレットは会計上「工具器具備品」に分類される
物流パレットは、税務上では原則「工具器具備品」に分類されています。ただし、一定の条件を満たしている場合は、固定資産として計上ができるため、減価償却の対象にすることも可能です。
税務上の固定資産は「取得価額が10万円以上かつ使用可能期間が1年以上」となっており、法定耐用年数にわたり分割し経費を計上しなくてはいけません。
また、事業で使用する資産であることはもちろん、時間の経過や使用することによって、価値が下がる資産でないといけません。また、取得価額が10万円を超え20万円未満になる場合は、「一括償却資産」として使用できる特例もあります。
一方、取得価額が10万円未満の備品については固定資産として計上せず、「消耗品費」などとして購入した年度に一括で経費計上することが認められています。
物流パレットは減価償却ではなく「消耗品費」になるケースがほとんど
前述でも説明した通り、会計上の分類が「工具器具備品」になる物流パレットを減価償却の対象とすることも可能です。とはいえ、実際には物流パレットの購入費用を減価償却するケースはほとんどありません。
理由として考えられるのは、物流パレットの価格が大きく関係しています。物流パレットには、木製・プラスチック製・金属製などのさまざまな種類があります。
物流パレットの一般的な価格は、数千円から数万円程度になるため、1枚あたりの費用が10万円を超えることはありません。
実務上では、固定資産としての減価償却ではなく、消耗品費として経費処理されるケースがほとんどです。ちなみに消耗品費は、取得金額が10万円未満であり、1年以内に消耗するものが対象となります。
物流パレットのセット購入でも「1枚ごと」で判断できる
物流業を開業したときや、倉庫内の設備・機器をリニューアルするときなど複数枚の物流パレットをまとめて購入するケースも少なくありません。
具体的にはパレット100枚 × 5,000円=50万円のようにまとまった金額で物流パレットを購入します。そのため、経理担当者などこのときの経費処理の方法について悩む人も少なくありません。
とはいえ、物流パレットは1枚ずつ独立して使用できる備品でもあるため、税務上は1枚ごとに取得価格を判定していきます。まとめて購入した場合も、物流パレットが1枚当たり10万円未満であれば、消耗品費として一括で経費処理ができます。
「減価償却or消耗品費として計上」はどちらがお得?

物流担当者のなかには、10万円以上で物流パレット一式を購入した場合に、経費の計上方法に悩むケースも少なくありません。
その費用を減価償却するか、消耗品として計上するべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。
- 減価償却するメリット
減価償却のメリットとして、節税効果が期待できます。
企業にとって資産の購入費用を数年にわたって償却できるようになり、利益額を抑えることにも繋がります。減価償却でなく高額な資産を一括で償却してしまうと、翌年に経費として計上できなくなってしまうため、利益率が高くなり税金にも影響してしまいます。
また、損益を正しく把握することにも繋がり、事業計画にも活かしやすくなります。
- 減価償却するデメリット
減価償却のデメリットとして、会計にやや手間がかかってしまうことです。
物流パレットによって耐用年数も変わってくるため、事前にルールを把握しておかないと手間もかかります。会計に慣れていないからこそ、手間もかかりデメリットになってしまうことも少なくありません。
- 消耗品費として計上するメリット
消耗品費として計上できるメリットとして、すぐに全額を経費にできることです。
税金の負担を軽減できますし、減価償却の計算も必要ありません。
そのため、事務処理の負担を減らして管理がしやすい点も大きなメリットと言えるでしょう。
- 消耗品費として計上するデメリット
消耗品費として計上するデメリットとして、不透明な部分が露出しやすく管理がやや複雑になってしまうことです。経費の計上を間違えてしまえば、税務調査の対象になってしまうことも少なくありません。
消耗品費として正しく計上できるかどうかが重要です。
すぐに節税したい人は、消耗品費として計上するのがおすすめです。また、今年の税金だけでなく、数年にわたって安定的に節税したい人は、減価償却を選択するのをおすすめします。
パレット以外の物流機器(マテハン機器)の減価償却の考え方

物流現場では、パレットの他にもラックやフォークリフトなどのさまざまな設備が使われています。
これらの設備は、取得価額が10万円を超えるケースも少なくありません。消耗品費として処理するのではなく、固定資産税として計上し、法定耐用年数に基づいて減価償却を行う必要があります。
物流現場でよく使われている設備の法定耐用年数の目安、減価償却の考え方について解説します。
ラック(保管棚・陳列棚)
ラックは、商品や在庫を保管しておくためにも物流に欠かせないものです。
物流の資産区分は使い方によっても異なります。ラックが「器具および備品」に分類されている場合は、使用する方法によっても法定耐用年数が変わってきます。例えば商品を並べておく陳列棚の場合は「8年」となり、商品を在庫とする保管棚の場合は「15年」となります。
また、大型の倉庫など壁に直接棚の取付工事を行うケースもあると思います。建物に取り付けられているラックは「建物附属設備」になるため「器具および備品」とは異なるものです。
建物の利便性や機能を高めるために行うものになり、電気・ガスなども建物附属設備に分類されます。建物とは別の耐用年数があり、減価償却資産としてみなされます。
一口にラックといっても種類があるため、使用している素材や使用している状況によっても変わります。ラックについての減価償却は一律ではなくそれぞれによっても使用できる耐久年数も変化していきます。
フォークリフト
フォークリフトは、重量物の運搬や積み降ろしなどに使われる機械のことをいいます。
パレットの中の荷物の移動はもちろん、高い場所に積み上げるときにも使われています。フォークリフトは高額な機械でもあるからこそ、減価償却できるのか知りたいと考えている人もいるでしょう。
法定耐用年数は、4年間といわれており「車両および運搬具」に分類されています。
実際の法定耐用年数はフォークリフトの形状によっても変わってきます。例えば、バッテリー式のフォークリフトは5年から長くても10年程度になります。エンジン式のフォークリフトは10年から最大で15年以上と考えられるなど、種類によっても大きく変わります。
フォークリフトの寿命はメーカーによっても変わりますし、日頃のメンテナンスがきちんとできているかどうかでも変わってきます。ほとんどのフォークリフトは、法定耐用年数以上に使用できるため長く使い続けることも状況次第では可能です。
ハンディターミナル
ハンディターミナルは、バーコードやQRコードの読み取りやデータ処理に使われている端末のことをいいます。
物流現場によっても作業の効率化や精度を高めるために使用されているものです。ハンディターミナルは「事務機器」のなかの「その他事務機器」に分類されており、固定資産となります。法定耐用年数としては5年間となりますが、メンテナンス次第では、より長く利用できる場合もあります。10年以上ハンディターミナルを使っている企業も少なくありません。
5年間を経過したとしても、ハンディターミナルをそのまま継続して使い続けることは問題ないものの、経費として計上できない点は注意してください。また、OSのサポートが切れてしまい、使えなくなってしまうハンディターミナルもあります。
そのため、なかには経費として計上できなくなったタイミングで、買い替えをするケースも少なくありません。操作性を重視して、ハンディターミナルを選択するケースも多いようです。
コンベヤ
コンベヤは、荷物を一定の速さで連続的に運搬するための機械になります。物流においても作業の効率化や省力化に繋がるものになり、欠かせない役割を持っています。物流でよく使われているベルトコンベアは「
食料品製造業用設備」であり、耐用年数は10年です。
使われている現場によっては耐用年数が短くなることもあり、一概に言えることではありません。
あくまでも会計上のものになりますが、メンテナンスをしっかりと行っているコンベヤは10年・20年と長く活用することも可能です。ただし、使用頻度が多くハードな使い方をしているコンベヤは、耐用年数よりも短くなってしまうケースも考えられます。
自動倉庫システム
自動倉庫システムは、倉庫に商品を入庫するときや保管、出庫までの一連の流れを一元管理しているものです。呼び方はそれぞれに異なりますが、ピッキングシステムと呼ばれることもありますし、倉庫管理システムと呼ばれることもあります。
自動倉庫メーカーの場合、想定しているものとは別に減価償却に使用する耐用年数の目安も決められています。会計上で見ると7年から最大でも12年だといわれており、使用環境やメンテナンスによっても変わってきます。
まとめ
パレットは物流業界で頻繁に使うものであり、消耗品の項目にて処理を行います。
パレット以外にもラックやフォークリフト、ハンディターミナルなど機器それぞれに耐用年数や減価償却も変わってきます。ROUTE88では、物流パレットのレンタルや販売も行っています。新品以外にも中古パレットも多く扱っているからこそ、お気軽にご相談ください。