輸送時におけるオーバーパックとは?ケース別の基本ルールも紹介!

海外の輸送の際に「オーバーパック」と呼ばれる方法を用いることがあります。複数の荷物を海外に輸送するときに使用する方法になり、梱包の方法や表示のやり方が変わってきます。海外輸送を考えている企業のなかには、オーバーパックについてよくわかっていない担当者の方もいるのではないでしょうか。オーバーパックを行うときの基本ルールはもちろん、注意するべきポイントや代表的な梱包方法も含め解説します。オーバーパックについて詳しく知りたい担当者の方は、参考にしてみてください。

オーバーパックとは?

オーバーパックとは、荷物や商品を輸送するときに大きな容器(コンテナ)のなかにまとめ梱包する輸送方法のことをいいます。具体的には、パレットのように積載用のボードの上に置いた状態でストレッチラッピングを使って固定した状態のことをいいます。

オーバーパックを使うメリットには、以下のようなものがあります。

  • 複数の荷物をまとめて運搬でき、輸送効率の向上が期待できる
  • 荷物の積み降ろしが簡素化され、作業負担の軽減に繋がる
  • 製品の保護化が期待でき破損リスクの低減に繋がる

などがあります。

複数の荷物をまとめることによってパレットへの積載が簡単になり、コストの削減効果も期待できます。荷物を個々に運ぼうとすると手間もかかり作業員への負荷も増えてしまいます。作業時間の短縮は人件費のコスト削減にも繋がるなどのさまざまなメリットが期待できるのです。

特に医薬品を運ぶときなど温度管理を必要とする輸送では、まとめて運ぶことで品質の維持にも繋がりやすくなります。海外への輸送で統一的に輸送できるようになるため便利な方法と言えるでしょう。

オーバーパックと同梱の違い

オーバーパックと似ている言葉に「同梱」があります。そもそも同梱とは一つの箱や容器のなかに別の商品を入れたり、付属品を合わせて入れることをいいます。同梱は輸送コストを削減したり、利便性を高める目的があります。通販で商品の梱包や、パレット積みの効率化を目的に行うものになります。

オーバーパックは、複数の商品をまとめて外部からの保護も目的としています。なかには、危険物を保護して守るために行うものや、外部環境との隔離を目的に耐久性の高い外装材で覆っていくものもあります。

【ケース別】オーバーパックをするときの基本ルール

オーバーパックには、決められたルールが存在します。

危険物が中に含まれているのかどうか、中身が見えているのかどうかによって、ルールも変わってきます。

具体的にどのようなケースに分類できるのか、具体的なルールについて紹介していきたいと思います。

危険物を取り扱う場合

オーバーパックにおけるルールとして「危険物」かどうかが重要になってきます。

UNマークが危険物を見分けるときの目印となります。

具体的な危険物とは、国際連合にて定めている「国際連合危険物輸送勧告」に記載されている9つの分類に該当しているかどうかです。具体的には以下のような基準にて分類されています。

クラス1:火薬(発煙筒や花火、爆竹、導火線など)

クラス2:高圧ガス(殺虫剤やライターなど)

クラス3:引火性液体類(ガソリン、アルコールなど)

クラス4:可燃性物質類(活性炭やマッチなど)

クラス5:酸化性物質類(漂白剤やメチルなど)

クラス6:毒物類(染料・消毒剤・医薬品など)

クラス7:放射線物質類(放射線物質や放射性医薬品など)

クラス8:腐食性物質(水酸化ナトリウム、塩酸など)

クラス9:その他(有害物質であるホルマリンやリチウムイオン電池など)

危険物に記されているUNマークには、輸送に必要な情報が含まれています。

UNマークのなかに、国際標識や承認した国、製造年、製造者、危険物が液体・個体なのか、種類や材質などの情報を含んでおり、見てわかるようになっています。

危険物でも中身が見える場合は、追加の表記は必要なく内容物が認識できている状態となります。追加記載による”表示義務”が免除されるため輸送にかかる手続きも簡単です。危険物で中身が見えていない場合は、梱包の外側部分に危険物とわかるような表示が必要になります。例えば、危険性ラベル(取り扱いラベル)、マーキング、正式名称、UN番号などを記載しなくてはいけません。輸送にも手間がかかるようになるため、中身が見えているかどうかによっても変わります。

非危険物を取り扱う場合

非危険物の場合も、中身が見えているかどうかによっても対応が異なります。中身が見えている状態のときは、貨物の記載事項について決められた記載があるわけではありません。中身が見えていない場合は、外装部分に中身が確認できるように表示しなくてはいけません。さらに、オーバーパックであることをわかりやすく伝えるために「OVERPACK」の表示をつける必要があります。

危険物と非危険物をまとめる場合

危険物と非危険物をまとめて輸送するときの対応も変わってきます。

基本的に危険物と非危険物をあわせた状態で、オーバーパックして輸送しても問題ありません。とはいえ、危険度の高いものは、輸送時に管理しなくてはいけなくなるため、別々に輸送することになります。

危険物と非危険物と一緒に送る場合も、中身が見えているか、見えていないかによっても変わってきます。中身が見えている状態で危険物と非危険物をオーバーパックするときは”危険物”扱いにして、荷物にわかるように明記しておかなくてはいけません。さらに、正しく包装しマーキングを行う必要が出てきます。

中身が見えていない場合は、危険物と非危険物がわからない状態になってしまいます。そのため、この場合でも”危険物”であることをわかるように明記する必要があります。

危険物のオーバーパックを行う際に注意すべきポイント

危険物のオーバーパックを行う際に、何に注意したらいいのかポイントを紹介します。

正しく危険物を輸送するためにもしっかりと押さえておきましょう。

  • 危険物に適したUN容器を用いるようにする
  • 表札や国連番号など見やすい場所に貼り付ける
  • コンテナ輸送時には、四面に危険物であることをわかるようにつける
  • 危険物と非危険物が混ざっているのかどうかを確認する

などの注意点があります。

オーバーパックした状態でも安全に運ぶためにも、国際基準であるUN規格を満たしているのかどうか、必要な表記をつけているのかを確認しておきましょう。OVERPACKの表記を忘れてしまうと、輸送ができなくなってしまうこともあるため、注意してください。

危険物のオーバーパックでは標識の貼り方はもちろんですが、表示・サイズ・ラベル色など決められたポイントがあります。

危険物を輸送するのか、非危険物を輸送するのかによって対応するようにしておきましょう。

【物流業界】オーバーパック以外の代表的な梱包方法5選

物流業界には、オーバーパック以外にもさまざまな梱包方法があります。

そのため、荷物の内容によって、最適な梱包方法を行う必要が出てきます。具体的にどのような梱包方法があるのか、それぞれの特徴や向いているケースについて説明したいと思います。

パレット梱包

パレット梱包は、物流業界でもよく見られる方法です。複数の荷物をまとめた状態でパレットに載せラップなどでしっかりと固定し動かないようにしておきます。パレット梱包は、さまざまな種類のパレットで使える方法になり、荷崩れの心配もなく形が異なる荷物も一緒に運べます。輸送時に効率を重視できる方法としても重宝されており、安定性の高さでも知られています。パレットは自社のものでもレンタルのものでも使え、資材の無駄を抑えることにも繋がります。

パレット梱包について、こちらにもより細かく説明していますので参考にしてみてください。

内部リンク:「パレット梱包」

スキッド梱包

スキッド梱包は、スキッド(木製・金属)の台に商品を固定した状態で梱包していく方法です。見た目はすのこのような状態をしており、下駄のようにも見えます。空気の通りもできるため、湿気の多い地域でも使いやすい方法です。スキッド梱包は、フォークリフトのツメを差し込んで使用する二方差しのものが主流になり、片方にて盛り上げる設計でできています。作業の効率化にも繋がりやすく、外装箱を必要としないため梱包材のコスト削減効果も期待できます。ワンウェイパレットとして使われることもあります。

バンドル梱包

バンドル梱包は、複数の商品をバンドもしくはワイヤーを使って梱包していきます。比較的丈夫な荷物で使われることが多く、傷つきにくい商品を輸送するときに適しています。荷物の固定方法も簡単ですし、慣れていない人でも安全に荷物を運びやすい方法として知られています。ただし、バンドル梱包になると荷物がむき出しの状態になってしまう点は注意しましょう。輸送時に荷物が接触してしまい、傷や変形の原因となってしまうことも考えられます。

クレート梱包(透かし梱包)

クレート梱包は、格子状にした木材もしくは金属を使い”すかし箱”にて梱包する方法です。通気性の良い方法としても知られており、夏場に冷却が必要になるような商品を運ぶ時にも最適です。中が透ける形状になっているため、状態を確認しやすく十分に頑丈な構造になっているため重量感のある商品を運ぶときにも適しています。とはいえ、密閉性がないため、防水機能は期待できません。耐水性のある商品を輸送するときに使われることが多い梱包方法です。

ケース梱包(密閉梱包)

ケース梱包は、密閉型の容器に梱包する方法をいいます。木材を使用することもあれば金属の容器を使用することもありますが、耐水性や耐久性の高い方法としても知られています。輸送中に衝撃に弱く傷つきやすい商品を運びたいときにも適しています。また、細かなものを運ぶときや盗難のリスクのあるものを運びたいときにも適した方法です。ただし、手で運ぶのが難しい時は下駄をはかせて使用しなくてはならず、開梱するときにやや手間のかかる方法です。

輸送時のオーバーパックに関するよくある質問(Q&A)

輸送時のオーバーパックによくある質問を紹介します。

Q1.中身が見えている・見えていないの判断基準は?

A:オーバーパックにおいて中身が見えているかどうかの基準は、包装材が透明かどうかです。透明の状態では、中に収納した各貨物が、貼付されたラベルもしくはマークなどで外部より確認できるかどうかによっても変わってきます。これらの条件を満たしている場合に”中身が見えている”と言えます。

とはいえ、1つでも条件を満たしていないと”見えていない”と判断されてしまいます。

Q2.危険物に該当するかどうかは何で判断すべき?

A:輸送する商品が危険物に該当するかどうかは、国際連合が定めた国際連合危険物輸送勧告にて確認できます。他にも、各メーカーによるSDS(安全データシート)を確認するのをおすすめします。SDSは、化学物質を含む製品を提供するときにも、危険性や有害性などの取り扱いをまとめたものです。取り扱いはもちろん、保管上の注意点などもまとめられています。

Q3.危険物と非危険物をまとめても良いの?

A:危険物と非危険物をまとめて送るのは状態によっても変わってきます。危険度が高く、他の物質との接触を防ぐための厳重な管理を必要とする危険物の場合は、まとめて送るのはNGだと言われています。それ以外に、比較的危険度の低い危険物になると、非危険物とまとめて送っても良いとされています。ただし、前述でも説明した通り必ず「危険物」としての取り扱いが必要になります。

まとめ

オーバーパックによる輸送では、輸送効率を高め作業負担を減らすメリットが期待できます。ただし、最適な方法でオーバーパックであること、危険物が含まれているのかを伝え表記しなくてはいけません。危険物と非危険物を一緒に輸送するときも十分に注意し、ルールを確認しておきましょう。また、オーバーパック時に使用する梱包材やパレットを用意したいときは、ROUTE88にご相談ください。豊富な中古パレットを取り扱っているからこそ、最適サイズをコストを抑えつつ用意できると思います。

私たちは持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
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